房総半島一周1泊2日の旅③ 館山市立博物館と館山城

千葉県
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館山市立博物館

前回の続きです。

渚の駅たてやまはを見た後は館山城に向かいます。

歩いて10分ちょっとの距離です。

お城に向かう前に博物館に立ち寄ります。

館山市立博物館

原始・古代から江戸時代までの安房の歴史を紹介しています。三方を海に囲まれた安房は古代から海を通じた他地域との交流が活発に行われていました。鎌倉時代は幕府の経済や文化の影響を受け、室町時代は里見氏の統治となり、江戸時代は徳川幕府により国替えを命じられます。そうした歴史を紹介している博物館です。

入館料400円(館山城との共通券)。館内は歴史展示室・民族展示室・岩崎巴人記念館(水墨画の展示)・企画展示室があり、歴史展示室は撮影不可でした。広くはなく、一見どこにでもあるような博物館ですが、なかなか見応えがあります。書状がいくつか展示してありますが、それぞれに現代語訳が添えられているので、内容を知ることができます。大抵どこの博物館も訳は展示していないので、非常に良心的に思えます。

上杉謙信が里見に援軍を依頼する書状には、「自分はできる限りのことをしている、あなたもできる限りの兵を集めて北条の軍に向かうよう考えていただけたらありがたい」、みたいなかなり丁寧な文面で書かれていて、外交の様子が分かります。また別の書状では、報告が遅れた事情を記し、「あなたのことを軽く思っていたわけではないということをご理解ください」と丁寧に前置きを書いていているものもありました。

南房総では「やぐら」という岩に掘った墓があり、この地域の独特なものであることも知れました。日本でも珍しいもので鎌倉と館山くらいなのだとか。古墳時代の横穴墓を武士の墓に転用したものらしいです。

民族展示室

2階の民族展示室には、昔の住居が展示されています。

神棚や掛軸から当時の信仰がうかがえます。

解説も丁寧で、この地域では土間にかまどを置かずに別の建物を建てて炊き場にしていたようです。そのため茅葺屋根にしないで杉皮葺きにし、煙が外に出るようにしていたと書かれています。

かまどは鋸山から取ってきた房州石を使ったことも知れます。注連縄の説明も意外で、館山市の民家には屋敷の入口に一年中注連縄を張ったままの家があったそうです。病気などの悪いものが家の中に入ってこないようにそうしていたのですが、毎年お正月に新しいものと取り替え、お葬式などの不幸な事があると取り外したそうです。

雨乞いに使った獅子舞も、この土地特有の形に思え、興味深いものでした。

企画展では鉄道の開通をテーマにした展示をやっていました。

大正7年に館山市に鉄道が通り、房総半島一周を鉄道で移動できるようになり、観光地化が進みます。

南国ムードを高めるためにヤシの木が鹿児島の植物園から持ち込まれ、北条海岸に134本が植えられたことを知りました。

那古船形駅の駅舎が大正のものを再利用しているのも、知れました(大正に建てられた駅舎は関東大震災で崩壊しましたが、同じ木材を使って再建し、現在も残っているようです)。

館山城

館山市立博物館の後は、館山城に向かいます。

博物館から近道があります。

館山駅に繋がる通常の散策ルート

館山城

天守閣の近くには展望台があります。

天守閣入口

房総の戦国大名・里見氏の居城跡。館内には八犬伝博物館があり、撮影不可です。南総里見八犬伝に関する展示が充実しています(時間がなかったのでほとんど見ませんでした)。

この城は天守閣からの眺めがいいことで知られています。東西南北ぐるっと見渡せます。

北の眺め

館山駅の方向です。ちょっと左には先ほど散策した渚の駅たてやま(オレンジ色の屋根)が見えます。

西側

浅間神社の祠

1周して北

所々ブルーシートの被った家が見えます。ここでも台風の爪痕を目にしました。

富士山に向かう形で浅間大社の祠が建てられています。

里見桜

上野国(現・群馬県高崎市)から安房に来て勢力を拡大した里見氏は、江戸時代の国替えで鳥取県の倉吉市に移転させられます。この桜は移封した里見氏と所縁のある倉吉市から移殖されたもので、里見桜と名付けられています。

城の隣にはちょっとした日本庭園があります。

時間が押してしまったので見れませんでしたが、無料で茶室を見学できます。

万葉の径

万葉集で詠まれた約100種類の植物があり、200本の梅の木が並ぶ梅園に繋がっています。周辺では1200本の椿や500本の桜、6400本のツツジの花をその季節に楽しむことができるようです。初夏や紅葉の時期に歩くのもおすすめです。

予定が詰まっているので、館山駅に戻ります。歩いて30分です。

天守閣の近くには孔雀園もあります。

館山駅の方には鶴谷(つるがや)八幡神社があり、そこでは拝殿の天井に掘られた54体の龍の彫刻を観ることができます。

沖ノ島や赤山地下壕跡、洲崎神社など、他にも見所が沢山あり、1泊してゆっくり観光するのもよさそうです。

館山駅東口の階段下には鯨を食べられるお店があります。マリンという駅弁屋でくじら弁当が売られていますが、店内でも鯨定食を食べることができます。テレビで取り上げられたこともあるお店のようです。

歩いていて気になるのは、やはり台風の爪痕です。9月9日の台風15号と10月12日の台風19号と、直近で2回も大きな台風の被害を受けています。9月9日の台風15号が上陸した時には、県内で最大約64万軒が停電し、千葉市では最大瞬間風速が観測史上第1位となる強風で建物被害や倒木等が多数発生し、停電の長期化や、断水・通信障害など、市民生活や産業活動の多方面に大きな被害が生じました。

その後にやって来た台風19号は東京でも冠水・洪水の被害を出し、二子玉川や武蔵小杉が浸水しました。停電も酷く、足立区3600軒、江戸川区3400軒、大田区1100軒、葛飾区1000軒、江東区2300軒、墨田区6200軒、世田谷区、3600軒、その他町田市、青梅市、あきる野市、檜原村、奥多摩町も停電という有様でした。「命を守る行動を」といろんなメディアで警告があったのが印象的でした。

この散策の数日後の10月25日にも台風21号が接近し、千葉県では記録的な大雨に見舞われ、土砂崩れが発生し死者が出る被害が出ました。3回も水害に遭うようなことになり、地元の人にとっては令和元年が大変な年になりました。

館山駅に戻り15時過ぎの電車で和田浦駅に向かいます。

次回に続く

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