北総・南房総エリア1泊2日の旅② 関東屈指の初詣参拝者数を誇る大寺院 成田山新勝寺

千葉県
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成田山表参道

前回の記事の続きです。佐原を散策した後、9:14の電車で成田駅にやって来ました。乗車時間は30分、9:45に到着です。ここから成田山新勝寺に参拝します。

東口から出て左折し、参道に向かいます。

房の駅。千葉県内にあるお土産屋で道の駅のようなアンテナショップです。帰りに寄ります。

二股に分かれた道を右に曲がり坂を降ります。

この辺りから土産屋や鰻屋が軒を連ね、参道らしくなってきます。

保存地区と思われ、昔の建物が軒を連ねています。

江戸時代から参拝客をもてなしてきた名残が、瓦の家屋から感じることができます。

千葉県といえば落花生が有名で、いろいろな落花生がお土産として売られています。瓜に唐辛子や菜の花を入れて漬けた鉄砲漬も有名なようです。

藤倉商店

竹細工、木工品、籐製品など昔ながらの天然素材を使った実用雑貨が揃うお店です。

川豊。鰻を捌いているのを間近で見れます。参道に鰻屋はつきものです。

参道で目を引くのが大野屋旅舘。望楼(展望台)のある日本建築で、創業は江戸時代中期ですが現在の建物は1935年に建てられたものらしいです。国の登録有形文化財で、現在は食事処・漬物店として営業しており、お食事付きの見学コースでは114畳の大広間や能舞台を観ることができるそうです。

路地

蔵造りの建物も目を引きます。

坂を下って右に曲がると、成田山新勝寺に到着です。

成田山新勝寺

真言宗智山派の大本山。1080年以上の歴史をもち、年間1,000万人が訪れる全国有数の寺院。広大な境内には堂塔のほか、成田山公園や書道美術館がある。

総門

高さ約15mの総欅(けやき)造りの門。開基1070年の記念事業により、2008(平成19)年に建立された、まだ新しい門。楼上には八体の生まれ歳守り本尊が奉安されてるそうです。

総門をくぐると、仁王門が目に入ってきます。

ここで成田山新勝寺の説明を少し。成田山の開山には平将門の乱が関わっています。939(天慶2)年に関東で平将門の乱が勃発すると、朱雀天皇の勅命を受けた寛朝大僧正が不動明王の御尊像と共に関東に下り、成田の地で21日間の平和祈願の護摩を修めました。

祈願最後の日に平将門が敗北して関東の地に再び平和が訪れ、寛朝大僧正が不動明王から成田の地に留まり人びとを救いなさいとお告げを受けたため、成田山新勝寺が開山したといわれています。「新たに勝つ」ことから新勝寺と名付けられているそうです。

成田山は平将門の乱の平定を願ったのが始まりなので、成田山に参拝したら神田明神に参拝しない方がいいといわれています。神田明神は平将門を関東の守り神として祀っているので、両方に行くと祟りがある、なんてことをいう人もいるようです。

仁王門

天保元年(1830年)再建(パンフレットには天保元年、ホームページには天保2年となっています)。門の左右には金剛像が安置されていて迫力があります。

中央の大提灯に「魚がし」と書かれているのは、魚河岸講によって奉納されたからです。

本堂に繋がる石段の手前の左には印象的な祠があります。

狛犬と大きな剣。「こわれ不動堂」と案内文には書かれています。

幾度修理しても不思議と壊れてしまうため「こわれ不動堂」と呼ばれているらしく、ご本尊は倶利伽羅不動明王のようです。

石段を上って本堂に向かいます。

大本堂

御護摩祈祷を行う場所です。

成田山は初詣の参拝客が多い寺院で知られていますが、明治神宮に次いで全国2位(寺院に限れば全国1位)の参拝者数を誇るお寺です。成田空港から近いこともあり、外国人観光客の参拝も多いお寺として知られています。

大本堂の中は、不動明王像が安置されていて荘厳な雰囲気でした。参拝していた方から11時に護摩炊きが始まると聞いたので、せっかくなので参加してみました。

護摩もお願いしましたが、500円もしたので1本しか書けませんでした…。

本堂に入ると既に沢山の人が座っていて、前が埋まっていました。ちょうどこの日は28日で、毎月28日は不動様の命日(縁日)で写経をするのがいいと住職の方が話していました。朱印は本来は写経してものを納めた証としていただくものなのだそうで、寺院に参拝したときは写経もおすすめだと言っていました。

護摩炊きは密教の秘法で、護摩壇に燃え上がる火はお不動様の智慧を象徴し、薪は煩悩を表し、護摩を燃やすことで煩悩を燃やすのだとそうです。護摩焚きは7人くらいのお坊さんで盛大に行われましたが、途中、希望者が荷物を火にかざしてもらっていました。お坊さんの案内で列を作り鞄をお坊さんに渡して、お坊さんが火に数秒かざして、また本人に渡していました。お清めなのか縁起なのか分かりませんが、護摩焚きに参加したおかげで普段では見れないものを見ることができました。

本堂の裏からは人口的に造られた石や植木、像が見えます。

何かの碑のようです。

沢山の仏像があります。

釈迦堂

1858(安政5)年に建立された重要文化財で、かつての本堂でしたが、大本堂の建立にともない1964(昭和39)年に現在の場所に移されました。

仏教を開いた釈迦如来や、普賢・文殊・弥勒・千手観音の四菩薩が奉安され、周囲には五百羅漢や二十四孝の彫刻がほどこされ、江戸時代後期の特色をよく残している総欅づくりの御堂です。厄除お祓いの祈祷所のようです。

額堂

1861(文久元)年に建立された重要文化財で、1986(昭和61)年に修復されました。参詣者から奉納された額や絵馬などをかける建物で、江戸時代に奉納された貴重な絵馬や、様々なモチーフの彫刻(額)を見ることができます。

お堂の下には七代目市川團十郎丈が寄進した石像がありますが、成田山は市川團十郎と所縁の深いお寺です。子宝に恵まれなかった初代市川團十郎が成田山で求子祈願をしたところ、願いが叶い、その霊験を喜んだ團十郎が成田不動明王を歌舞伎で演じたため、以後、市川團十郎が「成田屋」を屋号として使い、不動明王役が歴代團十郎の十八番になったのだそうです。

光明堂

1701(元禄14)年に建立された重要文化財。

江戸時代中期の貴重な建物で、大日如来、愛染明王、不動明王が奉安されている。

奥之院

光明堂の後方には奥之院の洞窟があり、毎年祇園会に開扉されます。毎年7月7日、8日、9日の直近の金土日のみ開放するようです。

俱利伽羅剣

不動明王が右手に持つ剣を俱利伽羅剣といいます。炎が剣に巻き付いているものを指すことが多く、もしかしたら炎がないのは違う名称なのかもしれません。

仏教において克服すべきとされる最も根本的な三つの煩悩である、貪瞋痴(とん・じん・ち)を破る智恵の剣です。貪は必要以上に求める心、貪(むさぼ)る気持ち、瞋は怒りや憎しみの心、痴は真理に対する無知の心、愚かさのことをいうそうです。

成田山公園

成田山の境内には、日本庭園や西洋庭園を整備した緑豊かな公園があります。

東京ドーム約3.5個分 (16万5000m²)にも及ぶ広大な公園が整備されていて、公園内各所には松尾芭蕉や高浜虚子など著名な文人たちの句碑があるそうです。無料で楽しめ、梅・桜・藤・菊・紅葉など四季折々の姿を見ることができます。

石段や石塔があり、いい雰囲気の公園です。

訪れたのは10月の下旬でしたが、蚊や蜂がいなくて散歩するのにいい季節でした。

たまに成田空港から飛び立つ飛行機が見えます。

河津桜

成田山書道美術館

江戸時代から現代の日本の書作品を中心に、天平時代から鎌倉時代までの古筆や古写経、 中国の拓本類、歴史に名を残した偉人の書跡や資料など6000点を超えるコレクションを収蔵している美術館です。 高さ13mの書物は圧巻です。

知らなかったので見過ごしてしまいましたが、成田山書道美術館の脇には水琴窟を聞ける場所があるそうです。この日は月曜日だったので休館日でした。

平和の大塔

1984(昭和59)年に建立された、高さ58mの真言密教の教えを象徴する塔です。1階には大塔入口、成田山の歴史展、写経道場各種受付があり、2階には明王殿があり大塔の御本尊不動明王、四大明王、昭和大曼荼羅、真言祖師行状図が奉安されています。3階からは信者の方のみとなりますが、1・2階は一般の人も無料で観ることができるそうです。

平和の大塔は先ほどいった釈迦堂や光明堂の奥にあるので、そちらからも行けます。弘法大師空海が彫ったとされるご本尊はそちらで見れるのでしょうか。嵯峨天皇の勅願により空海が自ら一刀三礼(ひと彫りごとに三度礼拝する)の祈りをこめて敬刻した御尊像が、成田山には祀られているそうです。

洗心堂

修行者が水行するための脱衣場として建てられたものらしいです。

公園内には滝がいくつかありますが、修行のために造られたようです。

江戸時代の農政家として知られている二宮尊徳も、農業改革に行き詰まり成田山で21日の断食水行を行ったといわれています。尊徳がこの場所で水行をしたのかは分かりませんが、お寺に残る滝や庭園にはそうした修行の名残があるところも多いのかもしれません。

断食といえば、成田山では断食合宿を開催しています(2021年現在コロナのためやっていません)。5千円くらいで2泊3日、水のみの断食業をすることができ、リーズナブルです。スマホなどの電子機器の持ち込み禁止の場所としても知られています。

それにしても、緑の綺麗ないい公園でした。思っていたよりも見所が多く時間が無くなってしまいました。半日かけてゆっくりお参りするのがおすすめです。

公園を歩いた後は出世稲荷に行ってみます。

出世稲荷の隣にある敷地。縁日の時にはこの通りが賑やかになるのでしょう。

出世稲荷

大本堂の正面左手の階段を上った所には出世稲荷が佇んでいます。御本尊は江戸時代に成田山を篤く信仰した佐倉藩主・稲葉正通が寄進したもので、商売繁昌、開運成就、火伏せのご利益があると伝えられています。

お寺の境内に鳥居があるのも、昔の雰囲気が感じられていいです。

鳥居の入口に油揚げが置いてあったので聞いてみたら、お稲荷様にお供えするものだと教えてもらいました。こういうスタイルは一般的なのでしょうか。初めてなのでお供えの仕方を教えてもらいました。

200円払って(お供えして)に蝋燭と袋に入った2枚入りの油揚げが乗せられているお皿を受け取ります。火打石でチャキチャキと鳴らしてもらいます。もう300円払うとお稲荷様の人形のような置物がついてきます。

鳥居をくぐって階段を上り、お稲荷様が祀られている所に行きます。

順番は分かりませんが、蝋燭の火を灯して油揚げをお供えして、

鐘を鳴らして合掌一礼するようです。

お稲荷様の置物がある人は油揚げの上にお供えして、油揚げには100円が乗せるのが正しい参拝の仕方なのでしょうか。こんなこと言っていいのか分かりませんが、あらかじめ100円が乗せられているような感じがしました。普通お賽銭は人によって金額が違いますが、全部100円玉が乗っていて違和感がありました。

ちょっと不信感があったので油揚げも使い回しではないかと思ってしまいましたが、虫や動物が寄らないように袋に入っているらしいです。

蝋燭は持ち帰って仏壇などに使うようです。油揚げ(200円)と狐の置物(300円)をお供えして、さらに油揚げに100円乗せて、600円納めて蝋燭を持ち帰るのが、正しい参拝方法といったところでしょうか。

稲荷社には鳥居を奉納したり旗を奉納する所が多いですが、ここでは石像を納めているのでえしょうか。

感想

来るまでは有名な割にはそれほど見所がないのではと思っていましたが、参拝してみたら時間をかけてじっくり観て歩きたいと思えるお寺でした。

荘厳な総門と大提灯のある仁王門との間の道が個人的には気に入りました。

成田山表参道②

成田山新勝寺を出てからは参道のお土産屋を覗きながら、羊羹資料館に向かいます。

総門のすぐ近くにある駿河屋(上)。ここも鰻を捌いているのを見ることができます。鰻は川豊や菊屋、近江屋でも食べることができます。利根川や印旛沼で取れた鰻を江戸時代は提供していたようです。

成田山一粒丸三橋薬局。江戸時代から参詣者に道中薬を販売していたお店で、現在は和漢生薬や漢方の煎じ薬、粉薬、薬草などを300種類以上の薬を取り揃えているお店です。

二宮尊徳の像があるのは、尊徳が成田山に参拝した際にこの薬の効果を体感して、以後贔屓したからだといわれています。

参道には蕎麦や鰻のお店の他に、鰻パンやコロッケ、今川焼や煎餅など、食べ歩きにいい店が並んでいます。

参道の入り口まで戻ってきました。ここにも漢方薬局があります。参詣者が跡を絶たない参道では薬屋はつきものだったのでしょう。

そして駅に戻る途中の道に、羊羹が有名ななごみの米屋總本店があります。店内には羊羹をはじめとしたいろいろお土産があり、試食もできます。喫茶スペースもありました。

お土産には生栗蒸羊羹やピーナッツ最中が人気です。

羊羹資料館

なごみの米屋の裏口に出ると、羊羹資料館があります。入館料は無料で写真撮影可で、パネルの説明を印刷した紙を持ち帰ることができるようになっていて、とても良心的な資料館です。

羊羹の歴史や日本全国の羊羹、原材料や造り方など、いろいろなことが知れます。

明治時代の荷車が見れたりと、意外と面白い展示があります。

羊羹の「羹」という字は、唐の「あつもの」という料理を表しています。羹(あつもの)とは、動物の肉を細かく切った汁物で、使う動物の肉によって呼び方が変わります。亀を使ったら亀羹、海老を入れたら海老羹といったように、猪羹、羊羹と48種類もの羹がありました。

平安時代に唐から羹が日本に伝わりましたが、日本では仏教の教えにより肉食をしない貴族や僧が多かったので、別の材料で羹を作ることになりました。

小豆や山芋、砂糖や葛粉を練り合わせて羊の形に似せ、それを「羊羹」としたらその名称が定着し、広まることになったのです。

室町時代は汁物から蒸しものになり、江戸時代には豆腐に味噌を和えて一晩とろ火でたいたものになり、江戸時代中期に寒天が発明され、また砂糖も前の時代よりも流通するようになると、砂糖と餡に寒天を和えた煉羊羹が作られるようになり、現在のような和菓子となりました。

昔の羊羹の広告やパッケージも見ることができ、楽しめる資料館でした。

羊羹資料館を出た後は、千葉県の道の駅として知られている「房の駅」に寄りました。落花生関連のお土産や房総半島の海の幸を使ったお土産が充実していて、試食もできました。炊き込みご飯やとろろ汁、落花生のお菓子や甘酒など、意外と楽しめました。店内には食事処もあり、一休みすのにもおすすめのお店です。その隣には酒蔵直売所の長命泉があり、ここでは日本酒の試飲をすすめていまいた。

JR成田駅の向かいには京成成田駅があり、その間の道には沢山の飲食店があります。参道にも魅力的なお店がいろいろとありましたが、この辺りも居酒屋をはじめとして良さそうなお店が多いので、参拝の後に一杯飲むのもいいのかと思います。

成田山参拝の後は、今晩の宿のある勝浦に向かいます。

次回に続く

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