前回の続きです。この記事では、静岡県三島市の文化や歴史を紹介します。
水の都 三島を象徴する清流 源兵衛川
沼津駅から電車に乗り、一つ隣の三島駅に着きました。これから三嶋大社に向かいますが、途中、源兵衛川に立ち寄ります。
三島駅から三嶋大社に向かう途中の道の左手に、楽寿園があります。こちらは後で立ち寄ります。
楽寿園の敷地の隣には、道路を挟んで源兵衛川という湧き水が流れる綺麗な川があります。
水が澄みきっていてとても綺麗です。
水量もあり、川が流れるせせらぎが心地よく聞こえます。
遊歩道が整備されていて、人気がなく静かで、ゆっくりと散歩するにはいい場所です。
ここ源兵衛川は、富士山の湧水を源水とする、1.5kmに続く農業用水路です。かつて、戦前までは、地地元の人がこの用水路で洗濯ものや食器を洗い、夏には食べ物を冷やしたり子供たちが泳いだりした場所だったようです。
昭和39年(1964年)東京オリンピックが開催されてから、上流地域の工場や生活用水の排水、ゴミの投棄などで水質が著しく悪化し、環境汚染が進みましたが、25年以上もそのまま放置されていたのだそうです。
そして平成4年(1992年)にようやく水質改善がされるようになり、今では絶滅危惧種のホトケドジョウやミシマバイカモが泳ぎ、ゲンジホタルが飛び交うまでに水質が改善しているようです。
それにしても、綺麗で素晴らしい所です。源兵衛川がとても綺麗だったので、その水源となる楽寿園も綺麗な水の流れる庭園なのだろうと思い、後で寄ることにします。
旅が終わってから知りましたが、湧水で有名な柿田川はここから近場でした。柿田川湧水群は源兵衛川から3kmほど離れた場所にあり、歩いても30分くらいの場所でした。三島駅周辺を散策する際は、是非とも柿田川に寄るのもおすすめです。
ここで三島市の歴史を少し。三島の水の綺麗さは江戸時代から知られていて、三島の清流にさらした鰻は臭みがなく美味しいと評判でした。三島は、伊豆国一宮三嶋大社の門前町として、また下田街道と東海道が交わる場所として栄えました。三嶋大社への参詣客が多く、三島の鰻は評判だったようです。
また、三島は東海道五十三次の宿場町の一つとしても、賑わいました。伊勢参りなど、江戸から京に上る旅人たちは、天下の険 箱根を越えた安堵から、三島宿でのんびり過ごしたといいます。箱根峠を無事に越えた「山祝い」をして、散財した旅人もいたそうです。
三嶋大社から出る「三島暦」は江戸でも人気があり、旅人が買って帰ったことが記録に残されています。昔は農業に必要不可欠だった暦は各地で刷られていましたが、伊勢の暦や三島の暦は人気がありました。
素晴らしい散歩道でした。
三嶋大社
源兵衛川から10分ほど歩き、三嶋大社に着きました。入口の鳥居の写真を撮り忘れました…。
三嶋大社は伊豆国の一の宮で、大山祇命(おおやまつみのみこと)と積羽八重事代主神(つみはやえことしろぬしのかみ)の二柱を御祭神としている神社です。二柱の神を総じて三嶋大明神と称しています。大山祇命は山森農産の守護神、事代主神は俗に恵比須様と称される福徳の神で、商・工・漁業者の厚い崇敬をうけています(三嶋大社ホームページを参照)。
境内に入ると神池があり、その周りに枝垂れ桜が植えられています。
御神木の楠
三嶋大社は枝垂れ桜が知られていますが、境内の参道にはソメイヨシノと三島桜も綺麗に咲いています。
訪れた3月下旬は、少し時期が早かったですが、綺麗な桜を楽しめました。
三嶋大社は、源頼朝が源氏再興を祈願した神社としても有名です。頼朝の旗揚げが成功したことから、以後、多くの武将の信仰を集め、今も受験などの勝負事や事始めの祈願におとずれる人が多い神社です。
総門
昭和5年(1930年)、北伊豆地震で被災し、翌年に建て替えた門で、注連縄は重さ400kg、太さ2m、長さ6.4mもあるそうです。
売店・休憩所
よもぎ餅に餡の乗った福太郎餅が名物で知られています。
神門
慶応3年(1867年)に建てられたもので、三島市の指定文化財です。
本殿
慶応2年(1866年)に建てられた国指定重要文化財。本殿・幣殿・拝殿、三つの建物が連なる複合社殿の総けやき素木造り。緒神事や式参拝、御祈祷が執り行われる場所です。
本殿の左にある客殿(御祈祷や御朱印の受付をする建物)に続く廊下
天然記念物の金木犀
樹齢1200年とされています。
神馬舎
絵馬
腰掛け石
源頼朝が源氏再興を祈願した際、腰を掛けて休息したと伝える石(左側)。右側は北条政子が腰掛けたとされる石です。
空腹で疲れも酷かったので、宝物館と売店をスルーして楽寿園に向かいます。
三嶋大社を参拝した後は、楽寿園に向かいます。
綺麗な水路のあるいい通りです。
三島駅からは三島スカイウォークへのバスが出ていて、25分でアクセスできます。
駅前の大通りに戻り、楽寿園に入ります。
入場料は300円
楽寿園は富士山噴火の溶岩流上に樹木が茂った土地で、湧水が豊かな場所と聞いてやって来たのですが、湧き水が少ない時期のようで、見所がありませんでした。
小浜池という大きな池は水が干上がっていて、寂しい景観でした。本来は、富士の溶岩が冷えてできた空洞を伝って、清涼な富士の雪解け水が所々に湧き出している土地なのだそうですが、この時は水が湧いておらず、所々にある水も濁っていて、がっかりスポットでした。源兵衛川が綺麗だっただけに、期待したのですが、訪れた時期が悪かったようです。
楽寿園を出て三島駅に戻り、新宿に戻ります。コロナ禍の旅で、飲食店に入らない旅となりましたが、いつもより疲労感があり、それほど楽しめませんでした。ご当地のものを食べられないとなると、やはり旅の魅力は半減します。
コメント