2018年10月、東京港区の白金台にある畠山記念館に行きました。館内には茶室があり学芸員による解説があるということで、行ってみることにしました。遅刻してしまい解説を聞くことができませんでしたが、美術館の敷地には庭園がありいい時間を過ごすことができました。今回はそんな畠山記念館の紹介となります。
都営地下鉄高輪台駅から歩いて約5分、高級住宅街に佇む畠山記念館にやって来ました。建物は高輪台と東京メトロ・都営地下鉄白金台との間にあり、白金台駅からも徒歩10分ほどでアクセスできます。
畠山記念館は、茶道具を中心に書画、陶磁、漆芸、能装束など、日本、中国、朝鮮の古美術品を展示している私立美術館です。技術者としてポンプの開発に携わり荏原(えばら)製作所を興した畠山一清が、事業の傍ら蒐集(しゅうしゅう)した美術品を保管・展示している施設です(畠山記念館のパンフレットより)。
荏原製作所のポンプは海外にも進出していて、ホームページを見てみると、富士山よりも高く水を上げられるポンプや25mプールを約7秒でいっぱいにできるポンプ、砂漠に囲まれたアメリカの都市・ラスベガスに約50km離れた湖から大量の水を運ぶポンプなどを造っており、その業界では世界的に知られている会社です。
門には畠山家の家紋があります。
中に入ると、空気が変わります。緑の多い素晴らしい道です。
苑内の庭は美術館利用者のみ、歩くことができます。
外の通りは車が少なく静かな場所で、鳥の鳴き声が聞こえ、寛げる場所です。
敷地内には数ヵ所茶室があり、瓦や格子、引き戸や垣根など見ることができます。飛び石や茶庭もあり、なかなか見応えがあります。
樹齢200年のクヌギ
地面は苔の生えている所もあり、これも風情があります。
樹齢150年のムクノキ
美術館の入口です。入場料は700円。2階に展示室がありますが、撮影は禁止です。
1階には長椅子があり、腰を下ろして一休みできます。
座って見る外の庭も、緑が綺麗でなかなかいい眺めです。
この日は原三渓の旧蔵の書画と工芸品が展示されていました。原三渓といえば、横浜にある三渓園を造った人物で、明治期に生糸貿易で財を成した実業家として知られています。原三渓が旧蔵していた書画や工芸品を畠山記念館では所蔵しているらしく、20年振りの公開ということでした。
本来は14時から学芸員による解説があり、それに参加する予定だったのですが、地下鉄の乗り換えに失敗して遅れて参加できませんでした。月に何度かはそうした説明を聞く機会があるようなので、自分のように美術品について何も知らなくてもそれなりに楽しめそうです。
この美術館の特徴として、館内に茶庭と4畳の茶室があります。茶室にいるような雰囲気で展示されている工芸品を見ることができるので、工芸品が好きな人にはいいのではないでしょうか。館内の撮影は禁止されているので、パンフレットに載っている写真を載せておきます。
茶室では抹茶をいただけるサービスもあるのですが、さすがに一人では頼めませんでした。近くに学芸員の方が座っていましたし。
展示品の中で気になったのが、コウモリの絵が描かれた茶さじを入れる容器でした。解説に蝙蝠(こうもり)の「蝠」は「福」と同音のため、中国では古来よりコウモリの絵は縁起がいいと好まれていたとありました。日本の戦前の器にはコウモリの絵が描かれていることがありますが、その理由を知ることができました。下の写真の器は明治時代のものです。
また、掛軸に礼状が書かれたものも、初めて見るものでした。掛軸には絵や短い言葉が書かれるものだと思っていましたが、礼状のタイプもあるようです。現在でいうところの表彰状のようなものでしょうか。調べても分かりませんでしたが、今後何かのきっかけで知れればと思います。
ちなみに、掛軸は壁にかかっている状態の時は「一幅(いっぷく)、二幅(にふく)…」と数え、巻いた状態の時は「一軸、二軸(一本、二本)…」と数えるようです。
美術館を出て苑内を少し歩きます。
雨の日でも楽しめそうな庭です。
秋の紅葉シーズンもおすすめです。
それにしても、静かでいい場所です。
先ほどの道に戻り、出口に向かいます。
散歩するのにちょうどいい広さの庭でした。
美術館の利用者のみに解放されているので、人が少なくのんびりと歩くことができます。
車の通りがほとんどなく、鳥の声しか聞こえない場所なので、散歩にはうってつけの場所でした。畠山記念館は2019年3月から改築工事のため長期休館しています。この記事を書いている2021年3月現在、まだ休館中です。
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