京都のネットカフェで朝を迎えます。旅9日目は滋賀県の比叡山延暦寺に行き、彦根城に寄ったあと名古屋駅まで移動します。青春18きっぷを使っての移動となります。今回の記事では、比叡山延暦寺、日吉大社、彦根城、彦根城博物館、玄宮園を紹介します。
それでは本日の行程です。
9日目の行程
6:45京都駅発
7:03比叡山坂本駅着
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8:20比叡山延暦寺
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10:15日吉大社
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11:44比叡山坂本駅発
12:48彦根駅着
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13:05彦根城
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14:00玄宮園
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15:13彦根駅発
16:44名古屋駅着
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20:00ネットカフェに入店
6時にネットカフェを出て、河原町駅から地下鉄で京都駅へ向かいます。昨日はネットカフェであまり眠ることができませんでした。空いたブースを掃除する音や店内の音楽が大きく、途中何度も目を覚ましました。安い料金で泊まっているので、頭に来ることはないのですが、寝る前にもうちょっとお酒を飲んだ方が眠りが浅くならないのかなと、思いました。
お会計の時に、サンプルのエナジードリンクをもらったので、それで朝食を済ませます。牛丼屋で朝定食を食べようと思っていたのですが、エナジードリンクを飲んだらお腹が膨れてしまいました。
6:45に京都駅から福井方面の電車に乗り、JR比叡山坂本駅へ向かいます。
進行方向に向かって右手に琵琶湖、左手に山々が見えますが、トンネルが多くて景色はあまり見れません。
比叡山坂本駅
京都駅から18分ほどで、7時過ぎに坂本駅に到着します。
ここからケーブルに乗って延暦寺に行くのですが、JRの駅からケーブル駅までは歩いて20分くらいあります。
駅のコインロッカーに荷物を預け、ケーブル駅までののんびりと歩きます。
始めはどこにでもある田舎の景色ですが、坂を上り続けていくうちに、いい道になります。
石の壁や瓦屋根が見え、石畳の道を歩き、壁から水が出ている所もあります。
自然も豊かです。朝は空気がきれいですし、歩いていて気持ちのいい道です。
比叡山坂本駅から歩いて20分、ケーブル乗り場に到着です。
坂本駅からはケーブルで延暦寺駅に向かいます。往復1620円。
日本一長いケーブルで2025mの長さらしいです。ケーブルカーのケーブルは左右二本あるが、右と左で違うケーブルを使っているらしく、右に溝のあるケーブルにしどうのこうのと、忘れましたが坂本ケーブルの解説を聞きながら登ります。
ケーブル坂本駅に到着です。山の上だけあって、涼しいです。夏にはいいですね。
ここから坂道を10分近く上ると、延暦寺入り口に着きます。
比叡山延暦寺
比叡山といえば天台宗の総本山。比叡山にある約150の堂塔をひっくるめて「延暦寺」と呼ばれています。山内には3つの地域があり、東の東塔、西の西塔、北の横川に区別されています。広大な敷地なので、今回はメインといわれている東塔エリアのみを散策します。
東塔、西塔、横川のすべてを見たい人は、1日かけてバスで移動となります。比叡山延暦寺内のシャトルバスが出ていて、お得な1日乗車券があります。歩くと、東塔の延暦寺バスセンターから西塔まで30分、西塔から横川まで90分、横川から東塔まで2時間かかります。30分に1本は出ているので、バスでの移動がおすすめとなります。
比叡山延暦寺
天台宗の総本山。最澄が開いたこのお寺で、1200年の歴史を誇る世界遺産にも登録されているお寺です。数々の高僧が比叡山延暦寺で修行を行い、世の中に教えを広げていきました。延暦寺は、当時の日本の仏教世界における中心ともいえる場所でした。
延暦寺で修行を行った僧の一例として、
浄土宗の開祖、法然
日蓮宗の開祖、日蓮
曹洞宗の開祖、道元
時宗の開祖、一遍
臨済宗の開祖、栄西
浄土真宗の開祖、親鸞
が知られています。
弁慶、天海、一遍もここで修行した僧の一人です。
後で知りましたが、比叡山延暦寺は滋賀県になります。京都府だと思っていましたが、境内の大半が滋賀県に属してします。
根本本堂と大講堂、宝物館(国宝殿)の共通券1200円を買い、観て回ります。今回は東塔エリアしか散策しませんが、この一日券で西塔と横川エリアの参拝にも使えます。
もらったパンフレットに書かれている東塔エリアのマップ
まずは根本中堂に向かいます。
根本中堂
延暦寺東塔の中心的な場所であり、延暦寺の総本堂です。1200年以上消えることなく燃え続けている「不滅の法灯」がある場所です。ウィキペディアで知ったのですが、現在でも昔ながらの菜種油を継ぎ足して灯りをともしているようです。「油断」という言葉は、気を抜いて油の継ぎ足しを忘れてしまい火を消してしまうことから、語源になったともいわれているのだとか。
信長の延暦寺焼き討ちで不滅の法灯が消えているのですが、それ以前に分けていた山形県の立石寺(山寺で知られているお寺です)から灯を持ってきて、現在に至っているようです。
大講堂
仏教の講義や議論、重要な行事が行われる場所です。最澄や延暦寺で修行した各宗派を開祖した人物の像や絵があります。
大講堂の後は国宝館へ
道の両脇には、各宗派の開祖の絵と簡単な説明が書かれています。
国宝殿
国宝館の入り口の写真を撮り忘れてしまいました。もらったパンフレットです。鎌倉時代に造られたという五大明王像が見応えありました。五つの明王が力強い表情で並ぶもので、延暦寺を代表する仏像の一つです。
また、水晶で作られた舎利容器もここでしか見られないのではないでしょうか。鎌倉時代に造られたもので、釈迦の遺骨を納める水晶製の容器です。
信長の焼き討ちでお堂が灰燼に帰しましたが、秀吉が大事な仏像や巻物などを横川から逃してやったような説明がありました。高僧の何人かもその時に逃がされているのでしょう。
ケーブル駅に戻る途中立ち寄った大黒堂
境内には一隅を照らす館があり中に蕎麦屋があります。綺麗な水で作った比叡山のそばが美味しくて有名なのだそうです。この時はまだお店が開いていませんでした。
写真を撮り忘れましたが、延暦寺の境内には消防署があり、消防車のナンバープレートは「延暦寺」となっています。
短時間の滞在でしたが境内を歩けて満足しました。敷地は約500万坪=東京ドーム約353個分という広さといわれ、歩いて見てその広大さが少しは分かりました。仏教界で大きな影響を持っていた比叡山延暦寺ですが、古代・中世では市を仕切ったり油などを専売したりと、多大な経済力がありました。荘園の経営もしており、経済界で影響力のある勢力でしたが、その大きさを少しばかりか感じることができました。
地理的にも京都の鬼門に位置する比叡山は、東国から運ばれてくる物資を抑える位置にあり、物流面でも大きな力を持っていました。比叡山延暦寺を焼き討ちした織田信長は、当時の延暦寺の思想や政治に思うところがあっただけではなく、逢坂峠で延暦寺によって物資や軍隊の移動が妨げられることを危険視して、その勢力の削減に注力したともいわれています。
織田信長の焼き討ちは方や宗教弾圧、方や政教分離と捉えられその功罪は意見が分かれるところですが、歴史家にとっては焼き討ちで多大な書類が焼失してしまった点では、擁護できるものではないという意見が強いようです。しかしもしかしたら、信長以前の足利義教の焼き討ち(1435年)や細川政元の焼き討ち(1499年)で既に焼失していたのかもしれません。
焼き討ちとか寺社勢力とかそんな話になってしまいましたが、現代では厳しい修行で知られる「千日回峰」が行われる場所としても、よく知られています。9日間断食不眠の難行をする「堂入り」という荒行は有名で数年に一度ニュースでも流れます。
日吉大社
さて、ケーブルで下に降りて日吉大社に向かいます。比叡山一帯の氏神で、明治の廃仏毀釈で延暦寺と分けられた神社です。
日吉大社
比叡山の麓に鎮座する、およそ2100年前に建てられた長い歴史のある神社。全国3800余りの日吉神社、日枝神社、山王神社の総本宮です。
平安京の北東に位置することから、鬼門を守る神社と崇拝されてきましたが、猿が神の使いとされていることでも知られています。「神猿(まさる)」と言い、「魔が去る」「何よりも勝る」ということで縁起がいいといわれているようです。
普通神社は拝観料を取らないのですが、文化保護のためということで、ここでは300円払って境内に入ります。境内には約3000本もの紅葉があり、関西屈指の紅葉の名所としても知られています。
高い山の中に見えるのが、奥社です。往復1時間。かなり気になったのですが、なぜか躊躇してしまい行きませんでした。
後で調べたら、八王子山という奥社で、山の斜面に建てている懸造の建物でした。不安定な場所に建てられているのにも関わらず、耐震性に優れた建造方法のもので、写真で観ると迫力があり、行っておけばよかったと思いました。
神社の境内は緑が多く、静かで、用水があり川の流れが心地よく聞こえます。
西本宮エリア
人の少ない静かな場所で自然もあるので、散歩にはいいです。
東本宮エリア
猿岩。お猿さんの顔の形に見えるようです。
日吉大社を参拝し、比叡山坂本駅に向かう途中、雰囲気のある茶屋で昼ごはんにします。こちらの大杉茶屋は、遮那王団子が名物のようです。三角形の五平餅にあんこと味噌だれを乗せた2本セットのお餅です。
ざるそばと金時豆のおこわ
蕎麦は普通の味でしたが、雰囲気のいいお店です。
JR比叡山坂本駅に戻ります。
ケーブル坂本駅とJR比叡山坂本駅の間の道は、雰囲気のあるいい道が続きます。
JR坂本駅に着いてからは、12時前の電車で彦根駅に向かいます。電車に乗って50分ほどで彦根駅に着き、コインロッカーに荷物を預け、彦根城を散策です。
彦根駅にある井伊直政の像
彦根城は駅から歩いて10分の距離です。
城の入口付近に、神社があります。
滋賀縣護國神社という、戊辰戦争から太平洋戦争(大東亜戦争)までの滋賀県の戦没者を祀る神社です。
幕府の譜代大名の筆頭であった井伊家は、安政の大獄をきっかけに戊辰戦争の時に官軍側に付いて戦争に参加します。滋賀縣護國神社のホームページや彦根城のホームページには、その経緯が書かれていますが、幕末の動乱期を生き抜く厳しさを感じさせられました。
(滋賀縣護國神社:「御祭神と歴史」のページ、彦根城博物館ホームページ:「彦根藩井伊家とは」のページ)
彦根城に入ります。
彦根城
1000円で共通券を買いますが、これでお城と日本庭園と博物館を回ることができます。
天守からの眺め
雲が無ければ琵琶湖が見えます。
国宝5城の天守
昔の天守が現存しているお城は12ありますが、その中で国宝に指定されているのは5つです。
彦根城博物館
博物館は井伊家の説明や鎧や刀などの武具、そして能の説明があります。能面の説明や雅楽の説明が充実した博物館で、文化や芸術に興味のある人は楽しめるのかと思います。
自由に持ち帰れる説明もあり、良心的な博物館でした。城と博物館と日本庭園の3ヵ所を観れて1000円なので、料金も安いです。
博物館の後は日本庭園を散歩します。
玄宮園
城からは離れていて、少し歩きます。
日本庭園玄宮園へ
ここの日本庭園もいい場所でした。晴れたらもっと素晴らしい景色になるのでしょう。周りに高い建物がなく、庭を楽しめます。
彦根城は、日本庭園含めて広い敷地です。暑い日に歩くには少し疲れを感じますが、天過ごしやすい天候の時に1日ゆっくり過ごすにはいい場所だと思います。
15時過ぎに彦根駅を出て、名古屋駅に向かいます。今夜の寝床は名古屋のネットカフェになります。彦根から米原や大垣を通りますが、車窓には一面の田んぼが広がり、いい景色です。田んぼに水の張った時期の晴れた日に、電車から眺めてみたいな、なんて思いながらぼんやりと車窓を観ていました。
電車に揺られること約1時間半、16:45くらいに名古屋駅に到着です。駅を出ると驛麺通りが。きしめんではなく、ラーメンの店が連なる通りです。名古屋のラーメン店が集まっていると思いきや、日本各地のご当地ラーメンが集まっている場所でした。
お腹が空いていたので立ち寄りたかったのですが、先に洗濯物を片付けようとコインランドリーに行ったら、潰れていました。駅から30分も離れた他のコインランドリーに行ったら時間が無くなってしまいました(洗濯・乾燥で1時間、コインランドリーへの往復で1時間と2時間も使ってしまいました)。
仕方なく空いている牛丼屋で軽く夕食を済ましてネットカフェに入りました。大きなリュックを背負っていると夕方の混雑した店内に入りずらく、名古屋コーチンの焼鳥や手羽先のお店、土手煮の美味しそうな立ち飲み屋など、惹かれる店が沢山あったのですが、断念しました。
そんなこんなでこの日の旅は終了です。
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