【夏の青春18きっぷ】講中宿の町並み残る早川町赤沢宿を散策 築180年の大阪屋に宿泊した4泊5日の旅②

山梨県

この記事は前回の続きです。山梨県早川町にある赤沢宿のゲストハウス大阪屋で目を覚まします。久しぶりの青春18きっぷを使った一人旅も、今日が最終日となります。

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朝の赤沢宿

4時半に起きて顔を洗います。よく昔の合宿所にあったステンレスの流しで洗面するので、冷たい水で顔を洗うことになり、ひんやりとした冷たさで一気に目が覚めすっきりします。

昨日は9時半には寝ましたが、10時過ぎから雨が結構強く降っていました。障子を開けて外を見てみると、雨は上がっていますが雲に覆われています。

それにしても雲が低いです。秘境にいるような幻想的な景色です。

5時頃朝の散歩に出かけます。昨日は周辺をあまり歩かなかったので、今朝は少し歩いてみようと思います。

宿でもらったパンフレットを片手に、周辺を見てみましょう。

裏面には散策マップが載っています。

ついでに、この辺りの場所のことも紹介しましょう。今いる場所は早川町という町ですが、山梨県の西部の「奥山梨」と呼ばれる場所になります(下の写真の右を参照)。

そして赤沢宿は早川町の下の方にあります(下の写真の左を参照)。

世界最古の温泉宿とギネス認定されている慶雲館のある西山温泉は、地図の上の方にあり、その更に上に奈良田温泉があります。西山温泉・奈良田温泉までは乗合バスで行くことができます。

温泉好きの人には早川町はおすすで、西山温泉だけでなく奈良田温泉にも魅力的な温泉があります。奈良田温泉にある白根館では、とろとろの濃厚な温泉が評判で、日帰りで利用することができます。以前は宿泊できる温泉宿だったのですが、2021年現在日帰り温泉のみの営業となっています。

今回の旅で知り一度泊まりたいと思っていたのですが、残念ながら旅館としての営業は終了しています。ついでに、白根館から一山超えた源氏の湯という温泉も評判が良かったのですが、こちらは閉館しています。

奈良田温泉のお湯はとろとろで濃厚のお湯が特徴なのですが、近くには町営の女帝の湯という日帰り温泉施設もあります。こちらの方は温(ぬる)めのお湯のようで、ゆっくり湯船に浸かれるようです。機会があれば行ってみたいものです。

赤沢宿について

さて、写真の右下の赤いマークが昨晩泊まった大阪屋です。ここから上に上って少し赤沢宿の集落を見てみたいと思います。

5:00過ぎに大阪屋の裏手にある石畳の坂道を上ります。

まだ暗く霧がかっています。

日が昇ってきました。

数分もすると明るくなってきます。

鉄板葺に葺きかえられた屋根も赤沢集落の特徴なのかもしれません。瓦屋根がトタン屋根になり、それが鉄板になったのだそうです。

トタン屋根になったのは明治期だといわれています。海外(確かイギリスだったような…)から導入されたのを取り入れ、それがその後鉄板になりました。赤沢宿は江戸から明治・大正・昭和初期と年代を追うごとに参詣者が増えて行きますが、活性化していく過程で新しい海外の物を取り入れたのでしょう。

歩いていると家に「玉屋」とか「大黒屋」、「○○旅館」と書かれた札を見かけます。

これはそれぞれの家を屋号で呼んでいたからなのだそうです。赤沢は江戸時代から集落の全戸が「望月姓」を名乗っていて、それぞれの家を区別するために「玉屋さん」とか「大黒屋さん」と呼んでいたようなのです。

雲が低くて近い。

こんな景色都会では見られません。

陽が出てきたと思ったら

また雲に覆われます。

坂をずっと上っていくと、身延山の方に行くことになります。

江戸時代後期になると身延山への参詣者が増えていき、身延山の奥の院を参拝した参詣者が山を下りてきて、ここ赤沢宿で一晩泊まりました。そして翌日に、日蓮宗の聖地とされる七面山に参詣しに行ったのだそうです。

七面山は日蓮聖人が開山した霊峰で、古くから多くの法華経信者が足を運んだ山岳信仰の聖地として知られています。七面山は江戸時代の初期から女人禁制が解かれた霊場としても知られています。

江戸時代後期から庶民による参詣を兼ねた旅行が増えますが、この赤沢宿の地にも講を組んで参詣する人が増えてきました。講とは、村などの集団の中でお互いお金を出し合ってお金を組み立てるものです。講の一部に、旅をする講があり、皆で積み立てたお金で神社やお寺に参詣しながら旅をしたという歴史があります。

江戸時代の後期は庶民の生活が向上し旅をする人が増えましたが、あくまでも神社やお寺に「参詣」するという名目が必要でした。詳しくはこちらに書いているので、興味のある方は見てみてください。

【日本一周3日目】三重県 お蔭参りの爆発的な人気と御師の存在 | 見知らぬ暮らしの一齣を (tabitsuzuri.com)

この雰囲気のいい水道?の左隣には、喜久屋という無料開放している休憩所があります。

この時は知りませんでしたが、翌年大阪屋に泊まったときに宿の管理人さんに教えてもらって中に入ってみたのですが、囲炉裏の残るいい建物でした。その時の記事はこちら

日蓮宗の総本山の身延山と、かつては修験の霊場とされた七面山を結ぶ参道の途中に赤沢宿は位置していたので、江戸時代後期からこの地の集落が講中宿としての役割を担うようになります。

明治の初期には、参詣客の案内人や荷物を持つ業者も増え、赤沢集落の34戸のうち9戸が旅籠(はたご)屋を経営するようになります。

更に、大正から昭和期にかけて身延線が開通すると参詣者が急増し、赤沢宿も繁盛するようになりました。この時期に海外からのトタン屋根を導入するようになったと思われます。

最盛期の赤沢宿は賑やかだったようで、4月と10月は参詣者のグループが宿泊しに来る繁忙期で、多い時には1日で1,000人もの宿泊客が泊まったそうです。食事だけとりにくる参詣者なら5,000人もいたなんてこともいわれています。第1陣、2陣、3陣と参詣者の団体を時間ごとに休ませて七面山に送り出したなんてこともあったそうです。

しかし、迂回道路が整備がされるようになると、車で身延山に行ってから七面山に向かうようになり、両山の間に位置する赤沢宿に立ち寄る人は少なくなっていったそうです。

そして昭和30年代頃になると宿を利用する参詣者も大分減り、旅館経営を終える旅籠屋が増えていきました。今では江戸屋旅館と大阪屋の二つのみの営業となっています。

歩いているとたまに見かけるこの石垣も、当時の様子を知る貴重な遺構なのだそうです。

冬は石畳が凍結するので、散策には向いていません。

土日祝のみ営業している、手打ちそばを提供している武蔵屋。大阪屋の近くにあります。

赤沢宿は現在、国の重要伝統的建造物群保存地区となっています。主屋や蔵など84戸、石碑や石仏、門など39件、石垣や湧水池、古道など118件が保存地区として認定されています(早川町ホームページのHOME > 観光情報 > 観光名所 > 文化財 > 赤沢宿より)。

農閑期となる4月と10月には1日に1,000人もの参詣者が訪れた場所も、今では静かにひっそりとしています。保存地区になっているおかげで、今でもその名残を歩いて見ることができます。

早朝の散歩を楽しんで、宿に戻ります。

これから雨が降るようで、目の前の山は更に雲がかかってきました。

昨晩は雨が降ったので、雨戸が閉められているままです。

これはこれでいい空間です。

霧がかっていて、なんともいい景色です。

チェックアウトの時間を遅らせて、もう少しここで外を眺めることにします。

霧なのか雲なのか、風に流されて移動していくのを、ぼんやりと眺めます。

大阪屋旅館の感想

昨日の夕暮れ時も素晴らしい時間でしたが、空気の澄んだ朝もまた素晴らしい時間です。東京からそれほど離れていない場所でこんな体験ができると思うと、普段の休日でもちょくちょく出かけてみようという気持ちになります。

今回は素泊まりでしたが、朝食がないのもそれはそれでいいものです。食事の時間を気にすることもなく、自分で好きなように時間を過ごすことができるので充実します。夜ご飯もチェックインの前にどこかでご当地のものを食べたり、お土産屋で地元のつまみや地酒を買って、宿でのんびりするのもありなんだなと思えてきました。宿に泊まる楽しみの一つは食事ですが、素泊まりもこれはこれで楽しそうです。

それにしても素晴らしい宿でした。晴れてもいい景色、雨が降ってもいい景色で、いい時間を過ごすことができます。Wi-Fiも繋がっているので、調べ事やネットを使う仕事にも不自由しません。おかげでいい一人合宿をすることができました。ゲストハウスなので本来は他の人との交流を楽しむ場なのですが…。

コインランドリーもあるので連泊もできますし、他の旅の途中で寄るのもいいのかと思います。友達同士で泊まりにくるのが一番楽しそうでしょうが。楽天トラベルでも予約できます。

楽天で予約 大阪屋旅館

場所はこの辺りになります。

さて、10時前にチェックアウトして山を下りてバス停に向かいます。

身延駅に向かうバスは6:13(下部温泉駅まで)と7:18と10:33と14:33と16:38のみです(2021年現在平日の時刻表)。散策のしやすい季節なら、10時に宿をチェックアウトしてから、周辺を散策して14:33のバスで帰るのもいいのかと思います。

大阪屋の隣には資料館がありますし、近くには観光案内所でカフェを営業している清水屋もあります。昼過ぎまで赤沢宿でゆっくりするのもいいかと思います。

10:33のバスで身延駅に向かい、そこから東京に戻り、今回の旅を終えることになりました。

旅の初日は台風でとんでもないことになりましたが、おかげでいろいろな体験をすることができました。三谷旅館に泊まれましたし、赤沢宿の大阪屋では一人で泊まることができました。

赤沢宿に泊まったおかげで「講」というものを知ることができましたし、バスで途中寄った下部温泉も知ることができました。台風のせいで伊根の舟屋には泊まれませんでしたが、代わりにいろいろな体験ができ充実しました。

赤沢宿には2019年に再度訪問しているので、興味のある人はそちらの方も見てみたください。

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