今回は、山梨県南巨摩郡身延町にある下部温泉の冷泉を紹介したいと思います。前回、9月下旬に下部温泉の大黒屋旅館で冷泉に入ったら急激に眠くなり、翌日体調がよくなったので冷泉は効果があるのではないかと思い、連休を使って冷泉を試してみました。ちょうど、ちょっとした断食にも興味があったので、断食合宿を兼ねて下部ホテルに1泊しました(断食の体験談はこちら)。
記事は前半・後半に分け、下部ホテルの冷泉の感想は後半になります。前半の記事では、下部温泉街にある熊野神社と湯之奥地区にある昔ながらの景観が残る集落を紹介します。
旅の行程
2019年10月に下部温泉に1泊の旅をしに行きました。1日目は下部温泉街と湯之奥地区を散策して下部ホテルに宿泊し、翌日は春日居町を散策しました(春日居町の散策も別の記事になります)。簡単な行程はこのようなものになります。
1日目:7:07高尾駅発→10:35下部温泉駅着→10:50熊野神社参拝→11:50湯之奥地区を散策→15:00湯元ホテルにチェックイン
2日目:8:00湯元ホテルチェックアウト→8:16下部温泉駅発→9:50春日居町駅着→10:00根津記念館→11:54春日居町発→13:16高尾駅着
高尾駅から下部温泉駅へ
高尾駅から7時過ぎの電車に乗り、下部温泉駅に向かいます。甲府駅まで中央本線で移動し、甲府駅で身延線に乗り換えます。
下部温泉駅は無人駅でICカードの精算機もないので、甲府駅で一度改札を出て下部温泉駅までの切符を買います。帰りは電車に乗った時に整理券を取り甲府駅で清算するか、車内に車掌さんがいれば切符を購入します。
10時半に下部温泉駅に到着です。大体ですが高尾駅から甲府駅まで90分、甲府で20分ほど乗り換えを待ち、甲府から下部温泉まで90分電車に乗ります。
熊野神社
駅から15分歩いて温泉街を通ります。
ホテル守田。源泉湯宿を守る会の温泉宿のようです。
昭和の名残を残す通り
橋を渡って真っ直ぐ進むと、
古湯坊 源泉館という温泉宿があります。
下部の冷泉といえば、ここが有名です。源泉湯宿を守る会認定の旅館のようです。
足元からパイプを通さずに30℃前後の冷泉が直接湧いている、足下湧出泉が有名です。一人でも泊まれますが日帰り入浴は不可です。この時期だと一人利用で1万5千円くらいだったかと。
源泉館の建物の間にある鳥居を進むと、熊野神社に行きます。
9月10月はスズメバチが活発に活動する時期なので注意が必要です。
鳥居には千社札やそれが剥された跡があります。
千社札は自分の名前や住所、屋号を記した貼札で、参拝した証を神社やお寺に残すことでご利益がもたらされるとされ、江戸時代に庶民の間で広まったものです。
現在ではほとんど場合、文化財保護法違反になります。指定文化財や重要文化財に貼ると罰則・罰金があります。
ハチがいなさそうなので先に進んでみます。
あまり人が歩かないようで、石段には所々苔がむしています。
灯籠が壊れている所もあり、手入れはされていないようです。
石段をくねくね上がって行きます。
手水舎
水は張られていません。参拝者は滅多に来ないのでしょう。
拝殿
創建は仁明天皇の頃と伝えられており、甲斐の国主藤原正信公が病のため温泉で療養していた時、ある夜夢枕に熊野権現が現れ「此の山上に我を祀れよ」とお告げがあり建立したと伝えられています。
かつて下部温泉で湯治をして怪我や病気が治った人が松葉杖を奉納して感謝した神社です。
しかし残念なことに落書きが目立ちます。
公認されているものなのかもしれませんが…。
ここの熊野神社は別名熊野湯権現や温泉宮ともいわれているようです。
隣には神楽殿があり、
その奥には見晴らし台に続く道があります。
スズメバチがいそうなので奥に行くのは止めておきます。
熊野神社の由来
毎年5月に療養客が奉納した松葉杖の供養祭が行われるようです。その時に神楽殿で太々神楽が奉納されるようです。
帰りにスズメバチに遭遇しましたが、普段見る大きさのものよりも1.5倍は大きかったです。
路地を歩いていると
カナヘビを見ました。
熊野神社に参拝した後は、 湯之奥地区に向かいます。
この道は歩きませんでしたが、もしかしたら近道なのかもしれません。
湯之奥地区へ
一旦来た道を戻って前回美味しいほうとうを食べたかど久の前を通り過ぎ、分かれ道を左に進みます。
途中まで湯町ほたる公園と一緒の道です。
歩道は狭いですが車がほとんど通らないので歩くにはいい道です。
牛石。武田信玄が牛に乗って視察していた時、牛が暴れて信玄を振り落とし、大石にぶつかり死んだのを供養した場所のようです。
供人も責任を取って自害し供養されているのだそうです。この辺りには「信玄の隠し金」と呼ばれる金山があったようです。
10月は晴れる日が多く散策にもいい時期です。
写真の右下にある梅田屋の看板はお蕎麦屋さんのものです。
右に曲がって川沿いに降りるとお店があります。今回は断食合宿も兼ねているので食べませんが、この辺りを散策する時は立ち寄ってみるのもいいのかもしれません。
右に曲がって鉄橋を渡ると湯町ホタル公園につながっています。
湯之奥地区は左の道です。
湯之奥地区へは温泉街から歩いて50分くらいかかります。
落石注意に看板
廻沢(めぐりざわ)神社。
ここから湯之奥地区まで40分かかります。
神社を観たかったのですが、石段を上っていたらスズメバチに威嚇されたので止めました。
蛇の死骸。マムシでしょうか。
絶好の散策日和ですが、歩くにはいい季節ではありませんでした。
歩いているとスズメバチが近寄ってきて気を遣います。
坂道を上りますし、木の実が落ちる音がして落石か気を遣いますし、
足元にマムシがいないか注意も必要です。
もう少し気楽に歩けると思っていましたが、気疲れしてしまいます。
石畳の残る昔の集落 湯之奥地区
気疲れしましたが、温泉街から50分ほど歩いて湯之奥地区に到着です。
この地域には国指定重要文化財の門西家の建物や湯の奥山神社、願かけ地蔵があります。
石畳を上って一つずつ見ていきます。
石垣
水路
石畳を上り切って高台に着くと、
門西家があります。
湯之奥金山を管理し、名主や関守を務めていた家で
現在の建物は江戸時代中期のものといわれ、当時のこの地方の生活様式や面影を残す貴重な遺構として 国指定の貴重文化財となっています。
現在も人が住んでいて声を掛ければ中を見学できるようですが、事前に連絡していなかったので止めました。ここでも写真を撮っている時にスズメバチが飛んで来たので、直ぐに逃げました。
そして門西家の先の道を進むと、湯の奥山神社があります。
それほど高くない鳥居。
先ほどの熊野神社も同じ形の鳥居でした。
案内板がないので由緒は分かりません。
どの樹かは分かりませんが、この神社の近くにはウラジロガシが植えられているようで、天然記念物なのだそうです。
晴れた日は鳥居の前の景色が綺麗でいい神社に思えます。
神社の近くには願かけ地蔵があります。
花が新しいので地元の人が定期的に来ているようです。
家内安全と書かれた木の板は何というものなのでしょうか。
来た道を戻ります。歩いていてもスズメバチが近寄ってくるので長居はできません。
郵便屋さんのカブ
詳しいことは分かりませんが、江戸時代の元禄期には湯之奥地区の金山は枯渇して、大集落であった村も廃村になったようです。当時はもっと多くの家々があったと思われますが、今は門西家や神社、地蔵と少しの住宅が残されているだけです。
温泉街に戻りますが、帰りもスズメバチが何匹も寄ってきて、スズメバチの多さにうんざりしました。スズメバチの活動が活発な夏から秋はこういう自然のある場所は歩くものではないと、痛感します。
先ほどの鉄橋からの景色
スズメバチやマムシ、落石に気を遣わなくて歩けるのなら、いい散歩道です。
行きに通った時に橋本屋が日帰り入浴をやっていると看板を出していたので、帰りに寄ったら急用ができたので休むと言われました。先月来た時も同じようなことがありました。温泉に浸かるために散策を早めに切り上げたので、時間が余ってしまいました。
仕方ないので一旦駅に戻って待合室で時間を潰す羽目になりました。
ついでに前回紹介した、駅の近くにある丸一食堂の隣にはカフェ&鉄板レストラン藤川というお店があります。リーズナブルな価格で甲州牛を食べられる評判のいいお店です。ドリンクのみの利用もできるお店なので、営業している時は一服するのにおすすめです。
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