田舎暮らしを体験できる星野リゾート系列の旅館 界アルプスに宿泊

長野県

2019年9月上旬に、夏休みの旅行で星野リゾート系列の「界 アルプス」に宿泊しました。泊まるまではよくある大手のリゾートホテルだろうと思っていましたが、泊まってみるとその土地のことをいろいろと聞くことができ、とても勉強になりました。他の旅館とは一味違う、いい宿泊施設でした。今回はそんな界 アルプスの紹介です。

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界 アルプスの部屋

黒部ダムを見た後、旅館に向かい15時にチェックインします(前回の記事はこちら)。

泊る部屋はロフト付き和室(定員4名)の部屋。

ベッドは上と下に2つずつ

地元の切り絵作家の柳沢京子さんのアートフレームが飾られています。

見切れていますが、右下の照明は伝統工芸の松崎和紙が使われている行灯です。

窓からはそば畑が見渡せます。

館内

作務衣に着替え館内を歩きます。宿泊する部屋の向かいの棟には温泉があります。

敷地内には神社がありました。

夕食前には囲炉裏でおやきのサービスがあります。

囲炉裏を前にして信州名物のおやきをいただきましたが、ここでは夕食後に日本酒を飲みながら語り部の話を聞いたり、朝食前に竈で炊いたお粥を食べることができます。

鉄器の急須。南部鉄器でしょうか。

囲炉裏の火に当たることができましたが、キャンプの焚き木と同じでかなり熱いのですが、部分的にしか温まりません。調理や虫除けにはいいのでしょうが、暖を取るには寒さを感じそうです。昔の人は冬を越すのは大変だったのではないでしょうか、家に隙間風が入ってきますし。

現役で活躍している竈も見ることができます。

温泉の休憩所

向かいの温泉のある棟を見てみます。

1階は休憩所で2階に温泉があります。

温泉の本

各地の温泉が載っていて参考になりました。

フリードリンク

落ち着いて過ごせます。

お茶やアイスキャンディーがフリーです。

左がしそりんご酢、右がそば茶です。しそりんご酢は信州産の赤紫蘇とりんご酢をまぜたものです。

器は松代焼の湯飲みで、長野県の伝統工芸品の一つです。鉄分の多い天然の土、自然釉、温泉水を用いたもので、およそ200年前に誕生した伝統的な手法で制作され、当時のままの姿を守り続けている焼物とのことです。

夕食後に語り部から聞きましたが、界アルプスは長野のものを使い、ここだけでしか体験でないような宿泊施設にしようと、スタッフの方がアイデアを出しているのだそうです。

浴場の入口にはこんなものも。

机に入浴時典がありましたが、温泉の浸かり方や泉質などを知ることができます。

勉強になります。

温泉は後で紹介します。

夕食

夕食は地元の食材を使った料理が出ます。

先付けのローストビーフの信州巻き

リンゴを巻いています。器はわさびの葉の形をしたものです。近くに安曇野大王わさび農場がありますが(車で30分ほど)、この辺りでは安曇野わさびが特産品として知られています。

新鮮な安曇野わさびを擦ってローストビーフに付けて食べます。

擦ると、とてもいい香りが広がって食欲がわいてきます。味の方は、甘みや辛さが控えめで食材を殺さないわさびです。大根のような香りというのか、味がします。奥多摩わさびほど香りと辛さがなく、伊豆のわさびほど大根の香りや味がしません。安曇野産は辛さが強すぎず、舌触りがいいといった感じがしました。なめらかなです。

煮物椀。綿秋鶉(うずら)進上 振り柚子。

八寸と刺身

八寸は、落花生の旨煮、秋刀魚幽庵焼き、鶏と干し葡萄の松風、炙り太刀魚寿司、長芋すりながし 三杯酢ジュレ、烏賊の酒盗和え とびこ 菊花、いんげんの胡桃味噌。

茸の土佐酢和え(上の写真の丸い小鉢)、信州サーモン(白いのは忘れました)のお造り、馬刺し

どれがどれだか忘れましたが、地元の食材をメインに使っています。

鮭と松茸の袱紗(ふくさ)焼。袱紗焼きとは、卵をふわっと半熟程度に焼いた料理や、柔らかい焼きもの料理をさすようです。

茄子の葛饅頭 海老の芝煮 雲丹と菊花飴

そして、しゃぶしゃぶ鍋

茸がたっぷり。写真に撮れませんでしたが(あまりに美味しくて人気で回って来ませんでした)、 黄金茸という茸をが後から追加されました。「たもぎ茸」といわれているらしく、夏のわずかな間しか採れない希少価値のある茸です。味はホタテのような味わいのある、美味しい茸でした。

うどんは「ざざうどん」といって、調べてみると、塩を使わず納豆菌をつなぎにして作ったうどんでした。戦後に開発された細いうどんで「おざんざ」ともいわれています。現在は塩を使った普通の製法で作られています。

そしてデザート。

黄金茸やざざなど初めて知るものがあり、楽しい食事でした。

囲炉裏で田舎体験

食事が終わり囲炉裏のある部屋に行くと、一杯いただきながら語り部の話が聞けます。

囲炉裏を囲んで竹の酒器に入ったお燗をいただきます。

竹の香りがほのかに日本酒に移り、いい香りがします。

語り部からは信州の話と星野リゾートのことを聞きました。善光寺はそばが有名だが、信州では水が冷たすぎて米が育てられず仕方なしに蕎麦を育てていて、それを無償で旅の人におもてなしをしたらその話が広まって有名になったのだとか。貧しい生活をよくしたいとお坊さんに相談したところ、参拝者に無料でおもてなしをしなさいと言われ、その通りにしたら大勢の人が来るようになったのだそうです。善光寺であまりにいいおもてなしをされたのが嬉しかった旅人たちが、それぞれ自分の土地に帰った時にその話をして、善光寺はそばの名産地となり、信州はそばが美味いと話が広がっていったのだとか。

星野リゾートの話では、社員はみな現場を持ち回りして仕事を広く覚えていくらしく、2か月ごとにフロント、厨房、風呂、洗い場と仕事をこなしていき、2年も経つと一通り仕事を覚えるのだそうです。すると、全体像があるから会議をした時に支配人の目線で考えることができ、会議が会長含め皆フラットにものを言うことができるのもあり、様々ないいアイデアが発信されるとのことです。会長の意見が支配人の多数決で変わることが全然珍しくなく、みんな言うからには結果を出すし、自分の意見を言うことでストレスや不満を溜め込まずに済む社風だと言っていました。

個人的に惹かれたのは、板前がいないことでした。スタッフが献立を考え、調理しているのだそうです。何でもやると言っていたので、仕入れもするのでしょう。先ほどいい夕食をいただけただけに、感心しました。この旅館では、黄金茸やざざ、温泉の休憩所にあった松代焼など、この土地ならではのものを知ることができました。安曇野わさびや信州サーモンなども、この辺りでは有名なものなので、いい思い出にもなると思います。

他にもいろいろなことを聞くことができ、いい体験ができました。

温泉

寝る前にお風呂に行きます。

北アルプスの麓に湧く湯量豊富な秘湯・葛温泉の引湯らしいです(ホームページ参照)。

内風呂

外の露天

翌朝入った時は静けさのなか鳥のさえずりが聞こえ、リラックスできました。

夜の敷地を少し散歩して寝ます。

朝の散歩

2日目の朝を迎えます。

5時に起きて散歩に出かけます。

曇り空ですが空気の澄んだとても気持ちのいい朝です。

外を歩いていたら、お猿さんに挨拶(威嚇)されました。

朝スタッフの方に聞いたら、普段は逃げるから向かってくることはないとおっしゃっていましたが、この時は数メートル先まで威嚇しに来ました(女性が近くにいたからだと思いますが)。

こちらの別のお猿さんは吠えていました。山奥ならまだしも、こうした場所にも猿が出没しているのは意外でした。過疎化が進むとこういう場所も増えていくのでしょうか。

かまどで「おめざがゆ」

散歩の後は囲炉裏の部屋で「おめざがゆ」をいただきます。

かまどで炊いたお粥です。

きな粉が入っています。

現役で活躍している竈を見る機会はなかなかありません。

いい体験ができました。

朝食

お粥を食べて温泉に浸かりのんびりしたら朝食の時間になりました。

量は多く見えませんが、お腹に一杯になりました。

左のみどりの器に入っている白いのは塩丸いかで、糸魚川から塩の道を通って大町にもたらされたイカだと説明がありました。塩の道の話を聞けるとは意外でした。

ライブラリー

旅館にはライブラリーがあり、寛ぎながら本を読むことができます。

自然や田舎暮らしに関連する本が揃っています。

コーヒーを飲みながら本を読めますが、菊花茶なんていう珍しいお茶もあります。

田舎暮らしの本は見ていて飽きません。

先人の知恵や工夫、食材のことがいろいろと知れます。

感想

田舎を体験できる宿をコンセプトにしているだけあり、貴重な体験をすることができました。伝統工芸や民藝にもふれることができました。信州という土地や大町のことをよく知ることができましたが、泊らなければ知る機会がありませんでした。宿泊費はそれなりにしますが、普段の一人旅とはまた違った良さがあり、いい体験をさせてもらえました。

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