新青森駅から少し離れたネットカフェで朝を迎えます。旅46日目は下北半島にある恐山に行き、青森駅のビジホで一泊します。今回紹介するのは恐山のみとなります。
それでは本日の行程です。
46日目の行程
6:03新青森駅発
6:09青森駅着
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7:10青森駅発
8:58下北駅着
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9:05下北駅発(バス)
9:45恐山着
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恐山散策
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13:00恐山発(バス)
13:40下北駅着
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14:09下北駅発
16:20青森駅着
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18:00青森駅のビジホで一泊
5時半にネットカフェを退店し、新青森駅に向かいます。
近くに有名な山内丸山遺跡があります。新青森駅から徒歩で30分、バスなら15分で行けます。縄文時代前期~中期(紀元前約3,900~2,200年) の大規模な集落跡が見つかった遺跡です。現在から約5,900~4,200年前の遺跡です。江戸時代から古代の遺跡があることが知られていた遺跡です。
新青森駅のみどりの窓口で、明日使う奥入瀬へのバスチケットを買い青森駅へ向かいます。
青森駅からは野辺地駅まで青い森鉄道で移動します。青い森鉄道は第3セクターですが、北海道&東日本パスで乗車できます。
今日は晴れました。いい天気です。
車窓からは平らな屋根の家や梯子の付いている家が見えます。雪国ならではです。平らな屋根は陸屋根と呼ばれるフラットな屋根で、雪を地面に落とさないように造られています。屋根の中心に向かって少し傾斜ができていて、太陽光で解けた雪水が屋根の排水溝から流れるようになっているそうです。屋根に上れる梯子は、外梯子というそうです。屋根に積もった雪を降ろせるように壁に掛けてあります。
野辺地駅で乗りかえて下北半島へ向かいます。
9時前に下北駅に到着です。
駅からはバスで恐山に向かいます。乗車時間45分運賃片道800円。下北半島の北にある仏ヶ浦にも行きたかったのですが、下北駅からバスで2時間はかかるので断念します。
下北駅からバスで恐山へ
車内では恐山の紹介が音声で流れました。おかげで次のことを知ることができました。
・恐山は今から1200年前に曹洞宗の円仁が開いた霊場
・中国から帰ってきた円仁が旅の果てに着いたのが下北で、眼下に広がる正しく霊山と呼ぶべき風光に感じ入り、地蔵菩薩を一体彫り本尊としたのが始まり
・霊場を探してたところ、夢でお告げがあり探しに来たのだとか
・この地は八峰がめぐり、その形が花開く八葉の蓮華に例えられていて、極楽浄土とされている。火山ガスの噴出する岩肌の一体は地獄に、湖を取り巻く白砂の浜は極楽になぞられている
・人々は千年の永きにわたって、人が死ねばお山に行くと信じ、供養塔を作ってきた
・恐山には東北一円にとどまらず、日本各地から信者の参拝が絶えなかった
・参拝する人の中には行き倒れる人がいた。山深く参拝するのは困難だったのだ。それを供養するために120だったか、100以上の供養塔がある。
・もともとこの辺りにはなかった一本杉が植えられ、参拝者からは貴重なものとして拝まれた
やはりバスのアナウンスはいいです。これから向かう場所のことを知ることができます。こういう分かりやすいアナウンスを聞くと、バスツアーもいいのかもしれないと思えます。死者を弔う歌でしょうか、民謡のようなものも流れています。
途中、名水のある場所でバスが止まり水を飲ませてくれます。
延命の水が山肌から流れており、一杯飲むと10年、二杯飲むと20年、三杯飲むと人より長く生きられるとアナウンスしています。この話を聞くだけでも寿命が3日延びるなんてことも言っていました。
10時前に、恐山に到着です。
湖があります。
何とも変わった風景です。
バス停で既に独特な場所だと分かります。
500円払って堂内を巡ります。
恐山
総門
知らなかったので素通りしてしまいましたが、写真の右手でしょうか、駐車場の近くには三途の川があるようです。
六地蔵
奥に三門が見えます。
通りの左には温泉があります。参拝者は無料ですが、酸が強いので長湯はできないようです。参拝前に身を清めるために、かつては参拝者全員が入浴していたのだとか。
山門
仁王像があります。
左手には本堂が
供養を行う道場のようです。
奥に進むと、地蔵殿があります。
本尊が祀られている場所で祈祷の道場です。
手水舎
地蔵殿から振り返ると
ビル群の見えない、都会とは違う景色です。俗とは切り離されている感じがします。スマホも電波が届きません。「docomo以外は圏外」と入り口の看板にあり(2015年当時です)、この時はauを使っていたのでスマホが使えず、日本にはまだこんな場所があるのかと驚きました。いろいろな場所を回ってきましたが、山登りでもしない限り「観光地」といわれる場所で圏外になることはありませんでした。山寺や羽黒山に行った時でさえ回線が繋がっていました。
石段を上り賽の河原に向かいます。
異世界感があります。天気が悪ければもっとそんな感じがするのでしょう。
殺風景な石の転がる道
岩肌からはお湯が出ていて暖かく、硫黄の臭いが鼻をつきます。
火の使用は禁止されています。
空風火水地の墓石。高野山に沢山ありましたが、空海のアイデアといわれる五輪の塔です。
いい天気です。
火山性ガスによって腐食しています
亜硫酸ガスというらしいのですが、火山ガスが出ているので、参拝すると軽い頭痛や倦怠感が出る人もいるようです。
風車が奉納されていますが、火山ガスの風下に立たないように注意を促すものでもあるようです。
道には積み石が散見されます。
積み石は地獄の「石積みの刑」を思わせます。親に先立って亡くなった子供が、一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のためと石を積んで親不孝を詫びますが、鬼が来ては積んだ石を崩してしまう話から来ているのでしょう。
石が積み立てられているのも、地獄を思わせる景観のためだけでなく、地面から出てくる有毒ガスを空気と混ぜて中和させる意味合いもあるのだそうです。
黄色い川が流れています。
硫黄でしょう。
水自体は透明です。
極楽浜
極楽浄土に繋がる浜と考えられています。本来は宇曽利山湖というらしいです。
震災慰霊塔
東日本大震災の犠牲者を追悼して建てられた慰霊塔です。裏には大小60ほどの手形の窪みがあります。自分の手形にあう窪みを探してお地蔵さまに触れることで、亡くなった方のことを思うように付けられているそうです。
水面に映る空や山、雲が綺麗です。
鏡のようです。
死者が死後に向かうとされる山
湖の水は透き通っていてとても綺麗です。この美しさが極楽を想像させているのでしょう。
水に火山ガスが溶け込んでいるので、酸性値が高くなり生物が住めないようです。
そのため透明度が異常に高くなっています。
雲間から注ぐ陽の光がまた何とも、不思議な景観をつくりだします。
雲っていたり雨が降っていた方が殺風景で地獄観があっていいと思っていましたが、晴れていた方が極楽浄土を思わせる景色が見れて、これはこれはいいです。
ちょっとした展望台があるので、上がってみます。
行きのバスのアナウンスにありましたが、「人は死んだら山に帰る」と考えられていました。これは仏教が入ってくる前から日本にあった自然信仰で、それが仏教と混ざりました。仏教が入って来る前から、この地では死者を見送る場所だったのかもしれません。
また修験にあるように、古来から自分が浄土に行けるように生前に苦行を重ねる山伏や僧と呼ばれる人がいました。熱泉や硫黄臭、冬の厳しさのあるこの地は、浄土への約束を願った人々が苦行をしたり、巡礼に来た場所なのかもしれません。
この地は亡くなった人を供養する場所だけではなかったのではないか、とそんなことを思いました。
写真を撮りながらゆっくり回りましたが、1時間で済んでしまいました。ここに来た人のブログを事前に見ていたら、じっくり観たら3時間はかかるという書き込みもあったので、2時間くらいは時間がかかるのかと思っていましたが、時間を持て余してしまいました。
時刻は11時前。次のバスは13時です。
ちょっとした売店があるので、食堂でそばを食べます。
バスの待合室があるので、ここでしばらく休みます。
寝ている人を見習って昼寝します。スマホは圏外なのですることがありません。宝物殿や資料館があれば時間も潰せたのですが…。今日も時間を持て余してしまいます。
待つこと2時間、下北駅に戻るバスが来ます。下北駅からは、来た道を戻り青森駅で降ります。
16時半前に青森駅に着き、近くを散歩します。写真を撮るのを忘れてしまいました…。
駅の近くに青森県観光物産館アスパムという、三角形をした建物があるのですが、そこでお土産を見ます。駅の近くに市場もあり、散歩するにはそれなりに楽しめます。
干しもちが売っていたので、買いました。
青森や秋田、長野などの寒冷地で作られていた保存食です。今では工場でお土産用にお菓子として作られていますが、昔は搗(つ)いた餅を紐で結んで軒先にかけ、寒風にさらしました。2カ月もかけて作ったようです。
餅と言えば、冬に猟をするマタギが携帯していた、バター餅(硬くならないようにバターを入れた餅)も有名です。
18時にビジホにチェックインして、今日の行程は終了です。ウィークリー翔ホテルチトセという安いビジホで、素泊まり3000円くらいでした。昨日もここに泊まっていればよかったです。
そんなこんなで今日の旅は終了です。
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