蔵造りの町並み
川越歴史博物館を出た後は、蔵造りの町並みに向かいます。当初の予定では川越城本丸御殿に行くつもりだったのですが、博物館が予想以上に面白く見所が多かったので、時間が押してしまいました。
13時に松本醬油の蔵見学に参加したいので、予定を変更して蔵造りの町並みがある北エリアに向かうことにします。
川越歴史博物館の近くにあった豆腐屋
民家でしょうか、途中に瓦屋根の雰囲気のある建物や蔵造りの建物があります。
軒下の植木や戸も含めて、いい景観です。
川越は江戸時代に多くの物資を江戸に届けて発展した町です。
現在とは違って当時は水運による物資の移動がメインで、川を舟が移動しました。
明治維新の後も商業都市として栄えましたが、穀物や箪笥(たんす)の取引が盛んだったようです。
それにしても、こういう瓦屋根と分厚い観音扉の窓という蔵造り特有の景観はいいですね。見とれてしまいます。
そんなこんなで歩いているうちに、蔵造りの町並みに到着です。
蔵造りの町並み
川越の中心にあり、趣き深い蔵造りの町並みが残ります。この町並みが出来上がったのは明治時代。明治26年(1893)の川越大火の後、耐火建築である「蔵造り」が採用されたことによるものです。現在も約20棟の蔵造りが軒を連ねます。平成11年には、「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。
~川越散策マップより~
明治期の川越の大火では12時間もの間火が消えることなく、町の3分の1が焼けてしまったそうです。その時に焼失を免れて残った建物が江戸時代に造られた防火性の優れた蔵造りだったことから、コストよりも防火性を優先して蔵造りの建物が建てられるようになったのだそうです。
川越は戦時中に大規模な空襲を受けなかったことで(爆弾が落とされたり飛行機からの機銃掃射で亡くなった人はいたので全く何もなかった訳ではありませんが)、江戸時代の名残がある蔵が残っています。
東京は関東大震災や空襲でことごとく蔵が無くなってしまいましたが、江戸時代の当時の面影を残す蔵は川越に来れば見ることができます。文化的価値という面からも、川越は見所のある場所なのです。
こちらは有名な行列店、かつおぶしのお店、中市本店です。
こちらでは「ねこまんま焼きおにぎり」が人気で、かつおやいわしの削り節をふんだんにかけた焼きおにぎりを目当てに、常に行列ができています。
フカゼンの看板
この辺りが蔵造りの町並みの雰囲気をよく表しているかと思います。
蔵造りといえば、普通は漆喰が塗られていて白い壁です。会津の鶴ヶ城や姫路城のように白い壁が普通ですが、川越の蔵は黒い壁のものもあります。
これは、江戸時代末期に江戸で黒い蔵が流行り、それを取り入れたからなのだそうです。黒い蔵は「江戸黒」と呼ばれ、粋だとされたそうなのです。
「江戸黒」の壁は白い漆喰壁の上に「黒漆喰」というものが薄く塗られてできているらしく、菜種油や松脂(やに)が燃えるとできる「油煙」という、高級なススを丹念に漆喰に混ぜて作られるものなのだとか。
今でもとても贅沢なものらしく、その漆黒の輝きには「粋」があるだけでなく、一流の商人であるこへの憧れもあったのではないかといわれています。
なかなか見所のある通りです。ただ、写真で見る分にはいいですが車の通りが多いです。有名な観光地なので車は速度を落として走りますが、数が多いので何かと気を遣います。
以前も来たことがありますが、建物や売っているものを見ながらぶらぶら歩くには注意が必要で、あまり落ち着けない場所でもあります。
車が走らない中の方に入ります。
景観を損なわないように電柱も木です。
人力車
鎧張りの壁
樋口一葉旧居に行った時にも見ましたが、水の切れが良く、雨水が内部に侵入しにくい造りになっています。板を一枚一枚下から釘で打ち付けますが、腐ってもその部分の板だけを交換すればいいので、優れた施行とも言えるのでしょう。
木陰でのんびりできる場所もあります。
少し歩いて菓子屋横丁に向かいます。
瓦屋根の民家や雑貨があります。
蔵造りの町並みから歩いて数分、菓子屋横丁に到着です。
お菓子横丁
こちらも観光名所として知られている場所です。
石畳の道に約20軒の飴や煎餅、団子などの昔ながらのお店が軒を連ねます。
昭和の初期には70ものお店があったらしいです。
駄菓子も売っています。
ここでしか買えない手作りのニッキや黒糖の飴や、長い麩菓子が人気のようです。
ついでに何年か前に来た時の写真も載せておきます。
たこ焼きを煎餅で挟んだもの
菓子屋横丁の通り
こちらもついでに。場所は蔵造りの町並みの方になりますが、エース大松というお店の焼き鳥。
埼玉県東松山市の焼き鳥で、鶏肉ではなく豚肉のこめかみから頬に当たる部位の「かしら肉」の焼き鳥です。にんにくや唐辛子の入ったピリ辛の味噌だれをつけて食べます。
菓子屋横丁を見た後は、時の鐘のある方に向かいます。蔵造りの町並みのを戻る形になります。
場所は菓子屋横丁と蔵造りの町並みの間辺りだったと思いますが、手作り納豆も売っていました。
時の鐘
江戸時代初期に造られた鐘は明治期の川越大火で焼失してしまったので、その後再建されたものです。
1日4回、6時・正午・15時・18時に鐘が鳴らされるようです。
来た道を戻り駅の方に進むと、松本醬油があります。
松本醤油の醤油蔵見学
蔵造りの町並みや菓子屋横丁から戻ってきて、松本醬油にやってきました。13時からの無料の醬油蔵見学があるので、それに参加してみます。
予約なしで見学の時間に店頭にいれば蔵に案内してくれるのですが、平日でしたが7、8人の人が集まっていました。見学が終わった時に30人くらいのバスの来た団体だ来たので、かなり有名な場所のようです。
店頭で待っていると「醬油蔵見学ご希望の方はこちらへどうぞ」と声をかけてもえ、蔵に向かいます。
松本醤油
明和元年(1764年)創業。天保元年(1830年)に醤油蔵と木桶を増設し、これが現在も使われている。蔵には江戸時代から使い続けている杉桶が40本並び、今なお昔ながらの手法によって製造が続けられている。倉は川越市の都市景観重要建築物にも指定。
社長から蔵の造りや醤油の造り方について説明を受けます。
この蔵は、明治期に川越の街の3分の1を焼失させた川越大火を奇跡的に免れ、焼けずに残った蔵です。江戸時代から使われている木樽には、麹菌や酵母菌、乳酸菌といった様々な菌が生息しています。
蔵の中は醤油の匂いや麹でしょうか、何か他のものの匂いもして、いい香りがします。蔵の中は少しひんやりとしていて、外よりも温度は低くなっています。
醤油は大豆と小麦粉と塩で作られますが、小麦粉は大豆と同じくらい使うそうです。
こちらの蔵で作られる醤油の8割は再仕込みのはつかり醤油です。河越のお土産屋で買うことができますが、スーパーに卸しているのは成城石井だけらしいです。「マツコの知らない世界」、で胡麻ドレッシングの人気が爆発したらしいのですが、そちらは伊勢丹にしか卸していないようです。
作っているものは店頭でも売っているので、番組で紹介された翌日には、胡麻ドレッシングを求めに開店前に列ができたそうです。また他の番組ではジャニーズの誰かが醤油プリンを番組で食べ、その時も多くの人がお店に来たのだそうです。
蔵のツアーは15分と言われていましたが、後から来た団体のせいもあるのでしょう、5分くらいで終わりました。店内には醤油や調味料だけでなく、たまり漬けなどの漬物も試食することができます。
代表的なはつかり醤油は2年熟成の再込み醤油ですが、思ったほどしょっぱくはなく、優しい味わいでした。ゴボウのたまり漬けも美味でした。醤油の方はお土産に買いましたが、この後もまだ歩くので小さいのにしました。
調味料では、はつかり万能だし醤油というものが絶品でした。材料を見てみると、天然醸造のはつかり醤油をベースに、三州三河みりんとこんにちは料理酒を合わせた調味料でした。どうりで美味しい訳です。どちらも評判のいい調味料で、それらを合わせたものは言うまでもなく美味しい味でした。
醤油蔵見学は短い時間でしたが、普段見ることのできない場所なので面白かったです。蔵や調味料に興味のある人は、蔵見学はおすすめです。
川越市立博物館
さて、醬油蔵を観た後は20分かけて歩いて、川越市立博物館と川越城本丸御殿に向かいます。
川越市立博物館の隣には美術館もあります。
博物館は200円で中に入れます。
中世や近世の展示がありましたが、あまり個人的には興味を引かれるものはありませんでした。
祭りの展示もありました。
博物館に行くとじっくりと展示されているものを見てしまうのですが、先ほど川越歴史博物館に行って満足したからか、すぐに出てしまいました。
蔵の展示もありましたが、漆喰とか防火についてもう少し知りたく、物足りない感じはしました。
川越城本丸御殿
川越市立博物館を出た後は、近くにある川越城本丸御殿に向かいます。
こちらは入場料100円。
本丸御殿があるのは日本では2カ所だけ、東日本ではここだけという、貴重な史跡ということで来てみました。もう1ヵ所は高知城らしいです。
中は回廊を歩き、外の庭を見て、なんてことをしていると一周終わってしまします。
見所は、特に…といった感じです。
1400年代に太田道灌とその父が築城したらいいのですが、詳しいことは分かりません。
見所や解説、川越城の説明がある訳でもなく、予備知識がないと楽しめない場所です。
そして何と言っても、バスツアーの団体がひっきりなしに来るので、館内は静かではありません。足跡や会話、玄関で脱いだ靴を入れるビニール袋の音がうるさく、建物や庭をのんびり鑑賞するような場所ではありません。喜多院や五百羅漢もそうですが、そこが残念なところです。
川越城本丸御殿と市立博物館のある北東エリアから駅に戻ります。川越駅の近くに稲荷神社があるので、ちょっと寄ってみます。
結構参拝者がいるので、地元では有名な神社なのでしょう。
鳥居の後ろには立派な日本のイチョウがそびえています。
川越駅の近くにある発酵食品のお店
小江戸里蔵の日本酒利き酒
川越駅の近くに小江戸里蔵という観光用の建物があります。約120年の歴史がある3つの酒蔵を改装した建物で、お土産処(明治蔵)、まかない処(大正蔵)、蔵市場(昭和蔵)があり、川越の特産物やお土産が売られ、また地元の食材を使った食事処があります。
蔵市場(昭和蔵)にはききざけ処もあります。
店内には埼玉県の地酒が並びます。
500円で4枚のメダルを購入すると、1枚でお猪口(おちょこ)1杯の日本酒が飲めます。
お猪口は45mlくらいでしょうか。少なく感じますが、利き酒には丁度いい容量です。60mlだと多く酔ってしまうので、このくらいがいいのです。
秩父錦とアロスというワイン酵母仕込みの純米酒、九重桜の純米酒、ワイン仕込みの小江戸河越の4種類を飲んでみました。
秩父錦は正統派の純米酒といった味わいで、九重桜はコクがありました。
ワイン酵母仕込みの日本酒を2種類飲んでみましたが、アロスが美味しく感じました。
面白いもので本当に白ワインの味がするのです。興味本位でいろいろな人がこのお酒を試飲していましたが、皆口々に「これは面白い、ワインって言って飲ませても分からないよ」と言っていました。
面白い味だったので、土産に300mlの瓶を買ってみました。750円くらいだったかと思います。
ただ、残念なことに家で飲んでみたら日本酒の味でした。利き酒処で飲んだ時とは違った味わいだったので、飲む温度が違ったのかもしれません。ちょっと残念でした。
売店ではお手頃サイズの地酒や梅酒、スパークリングタイプの日本酒も売っています。
日本酒が好きな人は勿論ですが、気軽に自分のペースで飲めるので楽しめる場所かと思います。回転が速いので利き酒処の所で人が溜まったり混んだりしないので、ゆっくり飲むこともできました。
お土産屋も和菓子をはじめいろいろな種類のものがあり、見ていて面白い場所でした。お芋を使った和菓子やプリン、雑貨が有名らしいです。
川越氷川神社では毎年夏になると風鈴市が開催され、約2000個の風鈴が飾られるそうです。風鈴市の時期に散策するのもおすすめかと思います。
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