【名所解説】世界遺産唐招提寺の見どころを紹介

散策の手引き

世界遺産の奈良の文化財に登録されている唐招提寺は、鑑真が開いたお寺として知られています。修学旅行で訪れる人が多いお寺ですが、見どころは金堂だけではありません。唐招提寺には奈良時代の建物が多く残っているので、実は見どころが多いのです。

今回は、事前に知っておくと唐招提寺の参拝をより楽しめる内容を紹介していきたいと思います。唐招提寺の近くには世界遺産の薬師寺があるので、奈良の世界遺産巡りをする時にも便利な立地にあります。

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創建

唐招提寺は天平宝字3年(759年)に鑑真が日本の戒律を整備するために創建したお寺です。戒律を重視する律宗の総本山です。

戒律とは、仏教の信者全般が自発的に守ろうとする戒めである「戒」と、僧侶の集団や教団の中の規則である「律」で、律は守らない時は罰則を伴うものです。戒と律はまったく別のものですが、律宗は律に重きを置く教えとされています。

鑑真の功績

鑑真は日本に戒律をもたらしたことが知られていますが、鑑真の功績はそれだけではありません。鑑真の功績は次のものがあります。

・日本に戒律制度をもたらした
天台宗の経典を多くもたらした
・薬と薬学の知識を多くもたらした
彫刻や織物の技術をもたらした

鑑真が多くの天台宗の経典を日本に持ち込んだおかげで天台宗の教義が広まり、後に最澄が天台宗を開く土壌がつくられました。そのため鑑真は律宗よりも天台宗に大きな影響を与えたとさえ、いわれています。

また唐や西域の珍しい薬を日本に持って来たため、日本の医学が大きく発展しました。鑑真は目が見えずとも匂いで薬の鑑定ができたと言われており、薬の知識も相当深かったようです。鑑真のおかげで日本の医学・薬学が大きく前進しました。

そして鑑真に伴って刺繍工や彫刻家が来日したため、唐の技術が日本にもたらされました。唐の彫刻技術や綿や綾の織物の文様などが広められたといいます。

唐招提寺の入り口、南大門です。唐招提寺は戒律の研究と実践を行う律宗の総本山です。天平様式の門で昭和35年(1960)に再建されたそれほど古くない門ですが、風化した柱がいい味を出しています。

こうした鑑真の功績を知ると、唐招提寺の参拝もより深いものになるのではないかと思います。

建物の見どころ

南門

昭和35年(1960)に再建された門です。

それほど古くないですが、柱がいい感じに風化した色合いになっています。

金堂

南門から入り真っ直ぐ進むと、目の前に金堂が建ちまています。金堂は8世紀後半、780年頃の建立とされ

金堂の特徴はシンプルさです。法隆寺も薬師寺も金堂は重層で裳階(もこし)がありますが、唐招提寺は平屋です。

また、屋根の造りも法隆寺や薬師寺が格式の高い入母屋造りなのに対して、唐招提寺は寄棟造りです。

現在の屋根は江戸時代の修理で2.8m高くなっていますが、創建当時はもっとのんびりとした緩い勾配でした。

初期の金堂は現在よりももっとシンプルで質素だったわけですが、これは唐招提寺が鑑真個人のお寺だったからともいわれています。

法隆寺や薬師寺が官寺(国のお寺)だったのに対し、唐招提寺は個人のお寺だったため、遠慮がちに造ったと思われます。資金集めに苦労したからだともされていますが、戒律をもたらした鑑真らしさが感じられるシンプルですっきりとした建物です。

正面は三つの蔀戸(しとみど)が開いた開放的な造りになっていて、外から盧舎那仏坐像、千手観音像、薬師如来像が見えます。

金堂の御本尊であり宇宙の中心、釈迦の本地仏である廬舎那仏像は、3mを超える高さがあります。

その隣には現世の苦悩を救済する3mを超える薬師如来立像と、理想の未来へ導く5mを超える十一面千手観音菩薩立像が配されています。

千手観音像は木像のものでは国内最大最古のようです。

本尊の脇には等身の梵天・帝釈天立像が立ち、四隅には四天王立像が立ち、非常に見ごたえのある内部となっています。

講堂

金堂の奥には講堂があります。

講堂は入母屋造りですが、こちらも裳階がなく単層の平屋なのでこちらも控えめな建物といえます。

講堂は平城宮の東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)を移築・改造した建物で、平城宮の面影を唯一とどめている建物で、講堂が残っているおかげで、平城宮のことが分かる貴重な建物です。

朝集殿とは、朝廷の臣下や官人が出仕する際の控えとなった建物です。

現在の講堂は金堂よりも屋根が緩やかですが、講堂も鎌倉時代の大規模な改修で屋根が高くなったようで、創建当初はもっと緩やかでした。

礼堂・鼓楼

講堂の右には(金堂の後ろ)、鎌倉時代に造られた入母屋造りの礼堂(らいどう)があります。

礼堂は、隣の鼓楼(ころう)に安置されている仏舎利を礼拝するためのお堂で、鼓楼は鑑真和上の仏舎利を奉安している建物で、「舎利殿(しゃりでん)」とも呼ばれています。

礼堂(らいどう)には馬道(めどう)と呼ばれる1間の通路があります。

反対から見ると、なかなか見ごたえのある造りになっています。

宝蔵・経蔵

礼堂(らいどう)の隣には宝蔵があります。

唐招提寺の創建に合わせて造られた校倉造りの倉庫です。

そしてその隣には、宝蔵よりも一回り小さい経蔵があります。

この経蔵は唐招提寺創建以前からあった米倉を改造したものといわれており、唐招提寺で最も古い建造物であり日本最古の校倉です。

唐招提寺の創建は天平宝字3年(759年)とされているので、700年代から現在まで1300年もの長い間、この地にあり続け、当時の姿をとどめています。

校倉の凄いところは、木に何も塗っていないのに、土壁もないのに、奈良時代のものがまだ残っているところです。

校倉は中国から渡ってきた建築方法ではなく、日本独自で編み出された造り方といわれています。建物にかかる重さの大半をこの校木(あぜき)が引き受けているので、隙間などできないのだそうです。

隙間ができないので、湿度が高い時は木材が膨張して湿気を防ぎ、乾燥している時は木材が収縮して風を通すというのは、科学的根拠のない話とされています。

昔、正倉院の宝物は校倉造だから長い間保存されたと聞いたことがありますが、これは間違いです。

開山御廟

金堂や講堂のある建物から離れた、境内の北東の奥まった静かな場所には、鑑真和上が静かに眠る開山御廟があります。

御廟を囲む土塀が美しいです。瓦土塀と言い、土の塀に瓦を入れて積むことで、塀の強度が増しています。

土塀は雨水が浸み込むともろくなり崩れてしまいますが、瓦を入れることで水がよく捌ける(はける)ようになり、長く持つようになるのだそうです。見た目も美しく、意匠と実用性を兼ね備えた、昔の人の知恵がつまったものです。

瓦は主に屋根や塀などに使われていた古いものを再利用しているので形は不揃いですが、これが独特の美しさを保っています。

日本の瓦土塀で有名なものに、熱田神宮の信長塀があります。桶狭間の戦いの直前に熱田神宮で先勝祈願をした織田信長が、今川義元を破った後に熱田神宮に感謝を込めて奉納した土の塀です。

開山御廟の中には綺麗な苔が生えています。

1250年に亘って鑑真和上に祈りを捧げる人が途絶えない場所で、御廟前には鑑真の故郷・揚州から贈られた瓊花(けいか)が植えられています。初夏に花を咲かせるようです。

戒壇

開山御廟から離れた場所には、僧となるための授戒が行われた戒壇があります。

戒壇は創建時に築かれたとされていますが、現在は鎌倉時代に造られたとされる3段の石壇のみが残り、その上に昭和53年(1978)に造られた宝塔が築かれています。

開山御廟から戒壇に向かう道もいい道でした。

参拝の順序・所要時間

南門→金堂→講堂→鐘楼・鼓楼・礼堂→宝蔵・経蔵→戒壇→開山御廟と参拝するとスムーズかと思います。開山御廟と宝蔵・経蔵の間に新宝蔵という宝物館があるのでそちらも時間があれば観るといいのかと思います。

所要時間は45分くらいかと。宝物殿含めると1時間くらいでしょうか。

唐招提寺の基本情報

拝観時間:8:30~17:00
拝観料:大人・大学生1000円、高校生・中学生400円、小学生200円
    鑑真和上坐像特別公開500円、新宝蔵200円
アクセス
バス:近鉄西ノ京駅から奈良交通バスで「唐招提寺」、「唐招提寺東口」
(東大寺、春日大社、興福寺、平城宮跡、法隆寺からもバスで行けるようです)
徒歩:西ノ京駅から約10分(薬師寺の與樂門から10分弱)
   平城宮跡の朱雀門から約30分

周辺の観光名所

薬師寺:近鉄西ノ京駅と唐招提寺の間にあるので、行きか帰りに参拝するのがおすすめです。

薬師寺の記事はこちら↓

【名所解説】世界遺産薬師寺の見どころを紹介 | 綴る旅 (tsuzuritabi.com)

平城宮跡:唐招提寺から徒歩30分なので歩いてみるのもいいのかと思います。唐招提寺は平常京の敷地にあったので、歴史が好きな人はかつて平城京だった場所を歩くのもおすすめです。

平城宮跡の記事はこちら↓

【日本一周補完の旅】3日目⑤世界遺産平城宮跡 | 綴る旅 (tsuzuritabi.com)

詳しく知りたい方はこちら↓

【散策記】電車日本一周補完の旅3日目⑤世界遺産平城宮跡 | 見知らぬ暮らしの一齣を (tabitsuzuri.com)

さいごに

唐招提寺の見どころを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。思っていたよりも見どころが多いのではないでしょうか。

唐招提寺は拝観料が1,000円と安くはないので、境内をゆっくり回りたいものです。それほど参拝客がいないので境内は静かですし、草木が多く自然を感じられます。のんびりと境内を歩きながら参拝するのがおすすめです。

薬師寺から向かう際は遠回りになりますが、秋篠川沿いを歩くのとおすすめです。秋篠川は奈良時代に人工的に作られた堀川です。平城京遷都の際は都を造るために木材などの物資を運び、平城京ができてからは国営の市場に商品を運び、そして平城京から長岡京へ遷都する際は解体した建築物などを運びました。

そして、唐招提寺に参拝する機会があれば、井上靖の『天平の甍』を一読するのがおすすめです。鑑真の来日を描いた作品で、この本を読んで唐招提寺に訪れる人が多い名作です。時間のある人は読んでみてはいかがでしょうか。

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別館サイトでは少しですが、より唐招提寺を詳しく紹介しています↓

【散策記】電車日本一周補完の旅3日目④世界遺産唐招提寺 | 見知らぬ暮らしの一齣を (tabitsuzuri.com)

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